さまざまな情報や意見を持った投資家が多数参加することで市場が効率的に価格をつけるため、「株価は常に正しい」とする考え方を、「効率的市場仮説」といいます。しかしこの考え方はあくまで仮説でしかなく、バブルや暴落などの例外が存在することも理解しておくべきであると、株式会社ソーシャルインベストメントの川合一啓氏はいいます。効率的市場仮説について詳しくみていきましょう。
株価が常に正しいとは限らない!市場の「ミス」を見抜く投資術【投資のプロが解説】 ※画像はイメージです/PIXTA

効率的市場仮説は「ある程度」正しい

株価というのは幅広い金額で値付けされるものです。将来的に成長性や安定性が高いと思われる銘柄は割高になり、そうでない銘柄は割安になる傾向があります。

 

1つの指標として、1株当たり純資産に対して株価が何倍かを示す「PBR」がありますが、そのPBRが2倍、3倍や5倍以上になる銘柄もあれば、1倍を切り、さらには0.5倍や0.3倍を切る銘柄もあります。

 

前者のような割高銘柄の場合は、今後その会社は純資産を何倍にも増やしていくだろう、と考えられているのでしょう。株価の割高・割安というのは、それぐらい大きなバラツキを見せるのです。

 

よって大雑把に、「よい会社は高くなり、悪い会社は安くなる」といえそうです。 そしてそれは、ものの見事に効率的市場仮説を示しているように思えます。

 

ですから「市場は効率的であり、株価は常に正しい」というその考え方は、ある程度正しいのかもしれません。よい会社が高く、悪い会社は安いという傾向が確かにあるのですから、無下にはできない考え方なのではないでしょうか。

しかし「例外」は起こる…そのワケは

しかし、ではなぜ「バブル」や「暴落」は起きるのでしょうか?  しかもそれらのなかには、よく理由がわからないで起きるものもあります。

 

上がっているから買おう(下がっているから売ろう)

買ったらまた上がった(売ったらまた下がった)

さらに買えば上がるだろう(さらに下がるだろうから売ろう)

 

市場参加者がこのような心理に陥ってしまうことで、深い意味もなくバブルが起きたり暴落が起きたりすることは、過去に何度も繰り返してきたことです。したがって、一見効率的だと思われる市場も、パニックに陥っておかしな価格をつけてしまうことが、確かにあるのです。

 

また、効率的市場仮説が完全に正しいのならば、新たな情報が出るまでは株価の上下を読みようがないため、利益が出るか損失が出るかは運次第になってしまいます。

 

しかし、長期的に利益を出し続ける投資家というのは、確かにいるものです。ずっと運がよかっただけだ、ともいえるかもしれません。しかし、単なる運のよさは、長期的には続きにくいでしょう。

 

また、その人が一定の理論や戦略を持って利益を出し続けているのなら、やはり市場は完全に効率的ではなく、投資家が「株価の誤り」を見つけ出して利益を出すことは、十分に可能なのではないでしょうか。