効率的市場仮説は「ある程度」正しい
株価というのは幅広い金額で値付けされるものです。将来的に成長性や安定性が高いと思われる銘柄は割高になり、そうでない銘柄は割安になる傾向があります。
1つの指標として、1株当たり純資産に対して株価が何倍かを示す「PBR」がありますが、そのPBRが2倍、3倍や5倍以上になる銘柄もあれば、1倍を切り、さらには0.5倍や0.3倍を切る銘柄もあります。
前者のような割高銘柄の場合は、今後その会社は純資産を何倍にも増やしていくだろう、と考えられているのでしょう。株価の割高・割安というのは、それぐらい大きなバラツキを見せるのです。
よって大雑把に、「よい会社は高くなり、悪い会社は安くなる」といえそうです。 そしてそれは、ものの見事に効率的市場仮説を示しているように思えます。
ですから「市場は効率的であり、株価は常に正しい」というその考え方は、ある程度正しいのかもしれません。よい会社が高く、悪い会社は安いという傾向が確かにあるのですから、無下にはできない考え方なのではないでしょうか。
しかし「例外」は起こる…そのワケは
しかし、ではなぜ「バブル」や「暴落」は起きるのでしょうか? しかもそれらのなかには、よく理由がわからないで起きるものもあります。
上がっているから買おう(下がっているから売ろう)
↓
買ったらまた上がった(売ったらまた下がった)
↓
さらに買えば上がるだろう(さらに下がるだろうから売ろう)
市場参加者がこのような心理に陥ってしまうことで、深い意味もなくバブルが起きたり暴落が起きたりすることは、過去に何度も繰り返してきたことです。したがって、一見効率的だと思われる市場も、パニックに陥っておかしな価格をつけてしまうことが、確かにあるのです。
また、効率的市場仮説が完全に正しいのならば、新たな情報が出るまでは株価の上下を読みようがないため、利益が出るか損失が出るかは運次第になってしまいます。
しかし、長期的に利益を出し続ける投資家というのは、確かにいるものです。ずっと運がよかっただけだ、ともいえるかもしれません。しかし、単なる運のよさは、長期的には続きにくいでしょう。
また、その人が一定の理論や戦略を持って利益を出し続けているのなら、やはり市場は完全に効率的ではなく、投資家が「株価の誤り」を見つけ出して利益を出すことは、十分に可能なのではないでしょうか。