必要な支援が届かなかった団塊ジュニア…これからツケを払うことになる日本社会
就職難のなか、これといった支援を団塊ジュニアは受けることができませんでした。現在、しきりに「就職氷河期のへの支援」などと言われていますが、すでに50代となった団塊ジュニア第1陣には特にこれらの支援が届くことはないでしょう。
ボリュームが多いにも関わらず、どこか社会から見捨てられてきた団塊ジュニア。しかしこの世代を無視してきたつけが、これから日本を襲うといわれています。
すでに団塊ジュニアを無視してきたことの弊害は、企業で起きているという指摘も。当時、極端に新卒採用を絞ったことで、会社組織も歪な形となり、中間マネージメント層が不足。上層部からの指示が直接若手社員に下りてきて、その若手社員が疲弊する……世代間ギャップを埋められず、退職者が続出、という事態に陥っている企業が増えているといいます。
さらに、加速する日本の少子高齢化も、団塊ジュニアの無視してきたことのツケだという声も。先ほどの人口ピラミッドをもう一度見てみましょう。ボリュームゾーンが団塊の世代でひとつ、団塊ジュニアでもうひとつあるのなら、その下にも膨らみがあっていいはず。しかし実際は存在していません。
その理由は、団塊ジュニアは低収入がゆえに結婚できなかった、子どものことを考えられなかったから。子育て支援なども、本腰を入れ始めたのは、団塊ジュニアには遅すぎました。結局、人口の膨らみをつくることはできず、高齢化を加速させることになったのです。
さらに弊害は続きます。いわゆる「2040年問題」。2040年ごろには、団塊ジュニアが高齢者となり、日本の人口のボリュームゾーンとなります。社会を支える側から支えられる側になるのです。それによって、2040年の医療・介護費は2025年と比較して、それぞれ1.4倍、1.7倍に膨れ上がり、約190兆円にもなると予測されています。このとき、日本にそんな余力はあるでしょうか。このときには、今と同じような医療や介護などのサービスを受けられないと考えるのが自然です。
支援を必要としながらも、一度も救われることのなかった団塊ジュニア。これから日本にふりかかる諸問題は、ある意味、ずっと無視され続けてきたことに対する彼らからの復讐ととれるでしょう。時すでに遅し、といった状況。私たちもまた、ただ耐えることしか選択肢はないかもしれません。