なにかと槍玉に挙げられることの多い「公務員」。不安定な経済環境のなか、民間の会社員と比べ給与水準の高い公務員に対して「羨ましいな」と考えている人もいるかもしれません。しかし昨今、公務員志望者の減少が深刻化しています。そこには公務員の「過酷すぎる労働環境」が関係しているようです。ブラック企業も真っ青の勤務実態について、みていきましょう。
平均給与40万円だが…過酷すぎる労働環境に教師「もう、やってられない!」 (写真はイメージです/PIXTA)

過労死ライン超過、休憩時間ゼロ…「ブラックすぎる」教師の労働環境

さらに、名古屋大学教授の内田良氏が、全国の公立小・中学校教員約900名に実施した「学校の業務に関する調査」によると、文部科学省が定める時間外勤務の上限の目安45時間を大幅に超える、「ブラックすぎる労働環境」が明らかとなりました。

 

内田良教授らは、2021年11月20〜28日、20〜50代の公立小中学校で働く教員924人にWEBアンケートを実施。管理職は含まず、小・中学校それぞれ半々の割合で回答を得ました。

 

同調査によると、1ヵ月あたりの残業時間の平均は105時間。小学校で98時間、中学校で114時間に上り、なかには月160時間以上もの残業を強いられる教員が1割以上含まれていました。

 

また、1日の休憩時間の平均は、小学校で9.4分、中学校で14.6分。さらに、小・中学校それぞれで教員のおよそ半数が「0分」と回答しています。所定の45分以上の休憩を取っている教員は小学校で5.6%、中学校で11.8%にとどまるなど、まさに「休むまもなく働き詰め」の状態です。

 

そしてもっとも問題なのが、「労働時間過少申告の要求」。1週間あたりの残業時間が40〜59時間の小学校教員のおよそ3人に1人、中学校教員のおよそ4人に1人が、「この2年ほどのあいだに、書類上の勤務時間数を少なく書き換えるように求められたことがある」と答えたのです。

 

こうしたなか、「この2年ほどの間に、教師を辞めたいと思ったことがある」と答えた教員の割合は、小学校で68.2%、中学校で63.3%。給与面だけでみると一見恵まれているようにみえる教員ですが、その労働環境は凄惨の極み。不要な業務の洗い出しや人員の確保など、抜本的な改革が求められています。