なにかと槍玉に挙げられることの多い「公務員」。不安定な経済環境のなか、民間の会社員と比べ給与水準の高い公務員に対して「羨ましいな」と考えている人もいるかもしれません。しかし昨今、公務員志望者の減少が深刻化しています。そこには公務員の「過酷すぎる労働環境」が関係しているようです。ブラック企業も真っ青の勤務実態について、みていきましょう。
平均給与40万円だが…過酷すぎる労働環境に教師「もう、やってられない!」 (写真はイメージです/PIXTA)

一見高給にみえる公務員の給与だが…

人事院が公表した「令和3年国家公務員給与等実態調査」によると、国家公務員の給与は、基本給33万6,333円、諸手当を入れて41万4,729円となりました。また、総務省が公表した「令和3年地方公務員給与実態調査」によると、地方公務員の給与は基本給31万6,040円、諸手当を入れて40万2,948円となりました。

 

一方、国税庁『民間給与実態統計調査』によると、会社員の平均給与は433万円。賞与などを加味して算出すると、月収では28.6万円ほどになります。


こうしてみると、公務員は高給取りにみえます。しかし昨今は、志望者の減少が深刻化しているといいます。それはなぜなのでしょうか。大きな要因のひとつとして挙げられるのが、近年問題視されている公務員の過酷な労働環境です。

劣悪すぎる労働環境…公務員離れが加速する

人事院『令和3年人事院勧告』によると、他律的業務の比重が高い部署(他律部署)の職員の8.7%は、上限を超えて超過勤務を命じられているといいます。さらに本府省の他律部署に限ると、その割合は15.7%にものぼるとか。超過時間をみてみると、1ヵ月に100時間未満の上限を超えた職員が7.8%、2~6ヵ月平均で80時間超の残業をした職員が10.4%もいました。月80時間残業といえば、いわゆる過労死ラインといわれている水準です。

 

このような環境は、若手キャリアを早期退職へと向かわせています。人事院『国家公務員退職⼿当実態調査』によると、20代「総合職(⾏(⼀)適⽤者)」の自己都合退職者は2013年度21名だったのが、2019年度には86名と4倍以上に。総合職全体では25名だったのが104名へと、やはり急増しています。さらに一般職や専門職試験採用者にまで広がると、539名が1,122名と、たった6年で2倍以上になっています。

 

辞職意向のある職員にその理由をたずねると、「もっと⾃⼰成⻑できる魅⼒的な仕事につきたいから」と公務員らしい回答が上位を占めるものの、「⻑時間労働等で仕事と家庭の両⽴が難しいから」が20代男性で34%、女性で47%にも上ります。