食品やガソリン、電気代、高速道路料金まで、身の回りで相次ぐ値上げ……一方、給与は一向に上がりません。とくに、日本の雇用者のおよそ3分の1を占める「非正規社員」の不満は相当なものでしょう。今回、消費者物価指数や平均給与などの統計データを紐解きながら、非正規社員が直面している「過酷すぎる現実」をみていきます。
手取り15万円…ギリギリの過酷すぎる生活に非正規社員「もう、ムリ」 ※画像はイメージです/PIXTA

ギリギリの生活なのに…止まらない物価上昇に非正規社員「もう、ムリ」

さらに同調査で非正規社員の給与分布をみていくと、中央値は19万5,600円。手取りにすると15万円程度です。平均値よりも随分と手取り額が低くなりましたが、これが実際に近いイメージだと考えらます。

 

このように、物価の上昇が続くなかでも一向に上がる気配のない給与。手取り15万円では日々の生活がやっとで、事故や病気、ケガなどの「非情事態」への対応は難しいでしょう。最悪の場合、自己破産……というケースも。

 

裁判所『司法統計』(令和3年12月分速報)によると、2021年の破産事件(地方裁判所新規受付分)の累計は7万3,457件。2021年12月に注目していくと、破産件数は7,200件。そのうち個人の破産は6,645件でした。最も件数が多かったのが「東京都(東京地管内)」で812件。「大阪府」「神奈川県」「福岡県」「北海道」と続きます。

 

人口比でみていくと、10万人当たり最も多いのが「福岡県」で7.84。「大阪府」「北海道」「宮崎県」「高知県」と続きました。

 

【人口10万人当たり「破産件数」上位10】

1位:福岡県 7.84

2位:大阪府 7.44

3位:北海道 7.34

4位:宮崎県 7.29

5位:高知県 6.50

6位:沖縄県 6.27

7位:秋田県 6.15

8位:千葉県 5.85

9位:岩手県 5.78

10位:東京都 5.77

 

出所:裁判所『司法統計』(令和3年12月分速報)より算出

 

2020年、2021年と、新型コロナウイルス感染症のパンデミックにより、収入減に見舞われた人が多くみられました。また、厚生労働省が公表している『新型コロナウイルス感染症に起因する雇用への影響に関する情報について(5月7日集計分)』では、新型コロナウイルス感染症によると「解雇等見込み労働者数(※)」の動向を集計しており、これによると集計を開始した2020年5月25日からの約2年間で、およそ4万8,000人の非正規社員が解雇・雇い止めとなりました。

※「解雇等見込み労働者数」は、都道府県労働局及びハローワークに対して相談のあった事業所等において解雇・雇止め等の予定がある労働者で、一部既に解雇・雇止めされたものも含まれている。

 

一向に上がらない給与、止まらない物価上昇。こうしたなかで政府の掲げる「自助努力」など、言葉だけでまったく現実味がありません。7月10日の参院選で大勝した自民党。この過酷すぎる現実を救うための抜本的な施策が待たれます。