食品やガソリン、電気代、高速道路料金まで、身の回りで相次ぐ値上げ……一方、給与は一向に上がりません。とくに、日本の雇用者のおよそ3分の1を占める「非正規社員」の不満は相当なものでしょう。今回、消費者物価指数や平均給与などの統計データを紐解きながら、非正規社員が直面している「過酷すぎる現実」をみていきます。
手取り15万円…ギリギリの過酷すぎる生活に非正規社員「もう、ムリ」 ※画像はイメージです/PIXTA

雇用者のおよそ3人に1人…「非正規社員」の厳しすぎる現実

総務省『消費者物価指数/東京区部/2022年5月分(2020年基準・中旬速報値』によると、前年同月比2.5%の上昇(生鮮食品を除く総合:+2.1%、生鮮食品及びエネルギーを除く総合:+0.8%)、前月比は0.2%の上昇でした。またガソリン(レギュラー)の価格は168.4円/リットル(7月14日現在)。ピーク時からは多少落ち着いたものの、依然として高止まりの状況にあります。そのため、電気やガスなどはもちろん、さまざまなものが値上がりとなり、私たちの生活を圧迫しています。

 

値上げの分、給与もあがれば問題ないのですが、そんなに世の中甘くはありません。特に、正社員との収入格差が問題となっている「非正規社員」は、こうした物価上昇が日常生活に大きく影響します。

 

総務省『労働力調査』(2021年)によると、非正規社員は2,064万人で、雇用者全体が5,620万人(役員除く)に占める割合は36.7%でした。おおよそ3人に1人以上は非正規社員ということになります。

 

では、問題となっている正社員との収入格差について、実際のところどれほどの格差が生じているのでしょうか。

 

男性正社員の給与は平均38万円ほど、手取りにすると28万円ほどです。推定年収は20代前半で340万円。年齢と共に上昇し、50代後半に694万円とピークに達します。

 

一方男性非正規社員の給与は平均26万円ほど、手取りで20万円ほど。20代前半で年収259万円。60歳を迎えるまでのピークは50代前半で344万円。40年あまりの社会人人生の中で100万円しか年収があがっていないのです。これでは非正規社員の不満が溜まるのも無理はありません。

 

【男性「正社員」と「非正規社員」の推定年収の推移】

20~24歳:3,400,800円/2,590,500円

25~29歳:4,284,900円/2,992,500円

30~34歳:4,988,200円/3,057,600円

35~39歳:5,602,500円/3,139,900円

40~44歳:6,060,200円/3,225,300円

45~49歳:6,428,300円/3,320,600円

50~54歳:6,926,900円/3,446,700円

55~59歳:6,949,000円/3,385,400円

60~64歳:5,299,500円/4,101,600円

 

出所:厚生労働省『令和3年賃金構造基本統計調査』より算出

※数値左:正社員、右:非正規社員