マイホーム購入者の平均年齢は40歳。そこから30年を超えるローン地獄が始まります。大きな負担を感じながらも、なんとか完済したあとに訪れるのは、平穏……と思いきや大きな問題が立ちはだかります。みていきましょう。
手取り29万円の会社員家族…月額10万円の住宅ローン、70代で完済した後に訪れる大問題 (※写真はイメージです/PIXTA)

70代で住宅ローンを完済…やっと平穏な老後が訪れると思っていたが

仮に前出の国土交通省の調査の平均値通り、3,409万円を借り入れて新築の一戸建てを建てたとしましょう。返済期間は30年、返済方式は元利均等、金利は1%とします。そうすると、利息分は538万2,732円。月々の支払いは10万9,646円。これが30年続くことになります。返済が終わるのは70歳。公的年金を頼りの生活……そんなときに、やっと住宅ローンから解放されることになります。

 

しかし、やっと悠々自適の生活が始まるのかといえば、そうはいきません。ローン返済中にも定期的に修繕を行う必要がありますし、築30年を超えた高齢夫婦の住まいとなると、快適な老後を送るためのリフォームを考えたくなるはず。

 

前出の国土交通省の調査によれば、リフォームする住宅の平均築後年数は、戸建てで28.7年。リフォーム資金は平均207万円になります。自己資金比率は81.6%なので、およそ2割はまたローンを活用することになります。

 

ただ70代で年金受給者となると、金融機関の審査が通るのかといえば難しいと言わざるを得ません。国土交通省『令和2年度民間住宅ローンの実態に関する調査』によると、「融資を行う際に考慮する項目」のうち、99.1%が「完済時年齢」と回答しています。

 

ローン完済とともに、リフォームも考えなければならない70代。新たにローンを利用してとはいかないので、自己資金ですべて賄うことが条件になります。

 

平均的な年金受給額は会社員と専業主婦というモデル夫婦の場合で22万円程度。そのような状況下で、200万円近くの出費はかなりの負担です。

 

ボロボロのマイホーム。リフォームの必要があるけれど、融資を受けられず断念……そんな辛い老後にならないためにも、できる範囲で繰り上げ返済などして、年金生活が始まる前にローンは完済。さらには老後を見据えてリフォームも完了、というのが得策だといえそうです。