不正な電気回路を遮断するカテーテルアブレーション
カテーテルアブレーションとは、簡単にいうと「不整脈を引き起こす異常な心臓内の局所をカテーテルで焼灼して、正常の脈を取り戻す治療のこと」をいいます。
カテーテルは医療用として用いられる、細くて柔らかい管のこと。アブレーションとは高周波や直流通電、マイクロ波、レーザーなどによるエネルギーを加えて組織を破壊除去する治療法です。つまり、心臓の局所に高周波の電流を当てることで細胞を壊死させ、不整脈を消失させるのです。
カテーテルアブレーションは不整脈に対する治療法のひとつで、正式には「経皮的カテーテル心筋焼灼術」といい、1982年にアメリカで初めて臨床応用されました。
日本で保険適応となったのは1994年のこと。その後急速に普及が進み、2020年には国内で10万件以上※もカテーテルアブレーションが行われています。
※ 循環器疾患診療実態調査報告書(2020 年実施・公表) JROAD(The Japanese Registry Of All cardiac and vascular Diseases)
https://www.j-circ.or.jp/jittai_chosa/media/jittai_chosa2019web.pdf
不整脈には3つのタイプ…治療の対象になるのは「頻脈」
不整脈のなかには、脈がゆっくり打つタイプ(=徐脈)、速く打つタイプ(=頻脈)、不規則に打つタイプ(=期外収縮)の3つがあります。
不整脈のタイプが異なれば、治療法も変わってきます。これらのなかで、カテーテルアブレーションの対象となるのは、「頻脈」の不整脈です。ほぼすべての頻脈性不整脈が、カテーテルアブレーションの対象になります。また、「期外収縮」もカテーテルアブレーションの対象になります。
以下は、カテーテルアブレーションによる治療を行う、代表的な不整脈です。
・心房頻拍
・発作性上室性頻拍症
・心室頻拍
・ブルガダ症候群
・心室性期外収縮
・心房性期外収縮
一方、脈がゆっくり打つ徐脈は、ペースメーカーを使用します。ペースメーカーは体内に機器を留置して心臓の動きを監視し、心筋に電気刺激を与えることで必要な心収縮を発生させる医療機器のこと。つまり、体内に機器を埋め込んで、心臓の動きをサポートするのです。
しかし、これは対症療法となり、不整脈の根治を期待する治療法ではありません。
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