(※写真はイメージです/PIXTA)

歳を重ねるにつれて増えてくる、股関節の違和感や痛み。そんな「変形性股関節症」の治療方法の1つに、「人工股関節置換術」というものがあります。「人工」と聞くとネガティブなイメージを持ってしまいがちですが、世田谷人工関節・脊椎クリニックの塗山正宏先生は「多くのメリットがあり、選択する人が増えている」といいます。今回は、「人工股関節置換術」の詳しい内容やメリット・デメリットについてみていきます。

一方「合併症のリスク」などデメリットも

これだけたくさんのメリットがある人工股関節置換術ですが、その一方デメリットもあります。

 

1.合併症のリスクがある

通常、手術には合併症のリスクがつきものであり、人工股関節置換術も例外ではありません。代表的な合併症を挙げてみます。

 

■感染症
股関節に細菌が侵入することで炎症が発生します。人工関節手術での感染症は難治性のものが多く、場合によっては再手術が必要になることもあります。発生の確率は1%程度です。

 

■脱臼
人工関節がまだ安定していない状況で激しい運動などを行うと、脱臼するリスクがあります。術後3ヵ月以内が発生しやすいので、その時期はじっくりリハビリに取り組み、無理をしないことが大切です。発生の確率は1%程度です。

 

■深部静脈血栓症、肺血栓症
手術の際出血が起きると、人間の体は自己防御反応として血液が固まりやすい状態になります。また、手術中や手術後は下肢をそれほど動かすことができないので、下肢の血流が滞ってしまい、下肢の静脈内に血液の塊(血栓)ができることがあります。

 

これが血流に乗って肺まで到達すると、肺でのガス交換が正常に行われなくなり、死に至ることもあります。発生の確率は数%程度です。

 

2.長期的に経過観察する必要がある

近年、技術革新が進んで人工股関節の寿命が伸びたとはいえ、場合によっては関節の緩みや破損が生じることもあり、そうなると、再手術が必要になってきます。

 

そのため、人工股関節が正常に機能しているか、破損などを起こしていないかなど、長期間にわたって、定期的に検診を受ける必要があります。

 

糖尿病の人、心肺機能が低下している人は手術適応外になることも

糖尿病があると全身の免疫機能が低下しているため、感染症のリスクが高まります。そのため一般的には、血糖値の目安となる「HbA1c」の数値が7.5以下の人が手術の対象になります。それを超えている場合は、まず糖尿病の治療に集中して血糖値を下げることが優先されます。

 

また、心肺機能に重度の障害がある人は、全身麻酔に耐えるのが難しくなるため、手術適応外になることがあります。

 

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※本記事は、オンライン診療対応クリニック/病院の検索サイト『イシャチョク』掲載の記事を転載したものです。