(※写真はイメージです/PIXTA)

歳を重ねるにつれて増えてくる、股関節の違和感や痛み。そんな「変形性股関節症」の治療方法の1つに、「人工股関節置換術」というものがあります。「人工」と聞くとネガティブなイメージを持ってしまいがちですが、世田谷人工関節・脊椎クリニックの塗山正宏先生は「多くのメリットがあり、選択する人が増えている」といいます。今回は、「人工股関節置換術」の詳しい内容やメリット・デメリットについてみていきます。

スムーズな関節の動きを取り戻す「人工股関節置換術」

変形性股関節症が進行すると、なにもしていなくても痛みが出たり、「立つ」「歩く」「上る」など日常生活のさまざまなシーンで支障が起きます。

 

そんな変形性股関節症の治療として、いま大きな注目を集めているのが「人工股関節置換術」。文字通り、傷ついた股関節を人工のものに置き換える治療法です。

 

胴体と下肢のつなぎ目として重要な役割を果たす「股関節」

そもそも股関節とは、太ももの付け根にある大きな関節のことをいいます。骨や軟骨などさまざまな組織で構成されており、胴体と下肢のつなぎ目として、複雑な脚の動きを可能にするという大きな役割を果たしています。

 

しかし、加齢などが原因で股関節を形成している軟骨や骨が傷ついたりすり減ったりすることで、股関節痛や機能障害が起こります。これが「変形性股関節症」です。

 

この傷つきすり減った股関節を体から取り出し、人工のものに置き換える治療法が「人工股関節置換術」です。現在、国内でも手術件数が増加しています。

 

「人工関節」…4つの部位で股関節の動きを再現

人工関節は主に4つの部位に分けられます。その4つとは、大腿骨に挿入する「ステム」、骨盤のくぼみ(寛骨臼)にはめ込む「カップ」、カップの内側にあり軟骨の役割をする「ライナー」、骨盤側の受け皿にすっぽりはまる「骨頭」です。

 

[図表1]人工関節は4つの部位に分けられる

「人工股関節置換術」の具体的な流れ

手術では、まず骨の損傷部分を取り除き、それから人工股関節をはめ込みます。

 

[図表2]「人工股関節置換術」の流れ


手術時間は症例にもよりますが、一般的には90〜120分が目安です。全身麻酔下で行われ、場合によっては硬膜外麻酔を追加して、術後の痛みを緩和することもあります。

 

人工股関節置換術は現在、多くの患者が選択している治療法です。人工股関節や術式も時代とともに進化し、非常に安全性が高く、患者の満足度が高い治療といわれています。

 

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※本記事は、オンライン診療対応クリニック/病院の検索サイト『イシャチョク』掲載の記事を転載したものです。