夏休みの過ごし方が「難関大受験の合否」を左右
まもなく、受験の天王山と呼ばれる夏休みです。
羽柴秀吉が明智光秀を討ち取った「山崎の戦い」の舞台が天王山であることから、勝敗を分かれ目となる大事な局面のことを「天王山」と呼ぶわけですが、難関大受験においても、この「天王山」である夏休みの過ごし方1つで志望校の合否が決定します。
今回はそんな夏休みの過ごし方について、絶対にやってはいけない、「落ちる人に共通する過ごし方」第1~3位をお伝えします。
第3位:勉強時間を目標にしている
成績が上がらない人に限って
「今日は10時間勉強しよう!」
「Study Plusでライバルと勉強時間を競い合おう」
のように、勉強時間を目標にしています。
実はこの習慣のある人が、難関大合格レベルまで成績を上げることは不可能なんです。
なぜかと言うと、勉強時間を目標にしている時点で
①長い時間勉強すれば合格できると思っている
②とりあえず長く勉強して安心したい
この2つのどちらかの思考があるからです。
この2つの思考があるからこそ『勉強時間を目標にする』という間違ったことをしてしまいます。
もちろん長時間勉強すれば成績は上がるでしょうが、受験に大切なのは身に付いた量。よく「勉強は量か質か」みたいな話がありますが、量というのはやった量、質というのは少ない量でいかに多くのことを身に付けるか、ということ。
つまり、量=勉強時間ではないので、勉強時間を目標にしている時点で勉強の量と質、どっちも失うことになる上に謎の安心感だけを抱いてしまうという、最悪の構図ができあがるということです。
決して時間を目標にするのではなく、量を目標にすることが大切です。
第2位:合格から逆算した「夏の目標」がない
これに該当する人は受かりません。
そもそも受験勉強を始める前の大前提として、受験の戦略を立てないといけません。
戦略というのはただの計画ではなく、「合格するための理想の状態と今の自分を比べて、そのGAPを残り期間で埋めるためにはいつ何をどのようにすればいいのか?」といった受験の戦い方を決めることです。
そもそもこれを設定していないとどれだけ努力すれば合格ラインに到達するのか分かりません。合格から逆算した目標を立てて初めて、夏休みにどれくらいやれば間に合うのかが分かります。だから合格から逆算した夏の目標が必要なんです。
「そんなのうまく立てられない」という受験生もいると思いますが、最初は下手でも良いので一度自分で立ててみることが大切です。
めちゃくちゃ頑張ったのに、そもそも間に合わないレールに乗っていた、なんてことになったら取り返しがつきません。
第1位:苦手に挑まず、得意に逃げている
この方針で勉強を進めている受験生で、実際に難関大に合格した人を見たことがありません。
「いやいや、得意を伸ばしたほうがいいに決まってる!」
「なかなか伸びない苦手科目に時間を費やしても無駄なんじゃないの?」
こう思う人が多いのも事実です。
確かにビジネスやスポーツでは得意を磨いたほうが突出した人材になれるので何かと有利なところも多いですが、こと受験勉強においてはまったく違います。
理由は2つあります。
1つ目は「受験には満点が存在するから」です。
ビジネスやスポーツの世界と違って、受験というのはひたすら問題を解くゲームです。受験で扱われる問題には必ず『正解』があり、教科によって配点も決まっています。
だから極端な話、200点を取れる実力があっても、1000点を取れる実力があっても、テストそのものの満点が100点なら100点にしかなりません。
しかも人間は機械ではないので必ずミスをします。となると得意科目はいずれ頭打ちすることになります。
ならば今80%近く取れている数学よりも50%しか取れていない英語に時間を費やしたほうが総合得点を上げられますし、何より苦手科目は他の人より劣っている科目ということですから、点数も自ずと上げやすいということになります。
そして2つ目は「入試本番に100%の実力を発揮できる保証がないから」です。
大学受験ではよくある話なのですが、意外にも夏や秋の模試でA判定を取っている受験生の志望校合格率は高くありません。
残念ながら落ちてしまう彼らには「得意科目の対策にばかり時間を使っている」という共通する特徴があります。
模試では得意科目のおかげで高得点が取れ、A判定を連発。そんな受験生は本番も『得意科目頼り』になってしまいます。
『得意科目さえできれば合格する』。これの裏返しは『得意科目ができなければ落ちる』になります。
一発勝負の緊張の中、その得意科目の試験に絶大なプレッシャーがかかった状態で、果たして18歳の高校生がベストなパフォーマンスを発揮できるでしょうか?
まずできません。これが2つ目の理由です。入試本番、すべての教科で100%の力を出し切れるわけがないということです。
だから苦手科目を人並みに伸ばしておくことで、本番得意教科で思い通りの成果を出せなかったとしても保険が効くんです。
得意科目という甘い果実に惑わされていては、志望校合格は夢のまた夢となってしまいます。
第1~3位のどれか1つでも当てはまったら、即見直そう
以上が難関大に落ちる受験生の夏休みの過ごし方です。
まとめると、
第1位:苦手に挑まず、得意に逃げている
第2位:合格から逆算した夏の目標が無い
第3位:勉強時間を目標にしている
となります。
難関大に現役で合格することは簡単ではありませんが、残念ながら落ちてしまう受験生には共通する特徴があります。
1つでも当てはまっていれば正直危険ですので、春に涙を見ないよう、すぐさま行動を見直していただくことをオススメします。
吉村 暢浩
オンライン学習塾「ポラリスアカデミア」学長
株式会社ポラリス 代表取締役
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