好立地に充実の設備、高層階なら夢のような眺望と、いまなお人気が高いタワーマンション。その購入者層は、富裕層からパワーカップルといわれる、高収入の共働き夫婦へと変化しているといいます。そんな人たちが、タワーマンション購入後に徐々に負担が増し、家計破綻の危機に直面するケースが増えているといいます。みていきましょう。
夫婦で「手取り66万円」超…パワーカップルが「タワマン購入後」に直面する恐ろしい事態 (写真はイメージです/PIXTA)

タワーマンションの購入…物件価格や初期費用だけで判断すると、あとで痛い目にあう

年収700万円以上というのは、どのような人たちなのでしょうか。平均的な賞与を手にしている大卒・正社員・男性会社員と想定した場合、月収はおよそ45万円、手取りにすると33万円ほど。大卒正社員の男性であれば、およそ28%が該当します。一方、大卒・正社員・女性であれば、全体の8%。夫婦となると、その組み合わせになるわけですから、パワーカップルは一般層でも稀な存在であることがわかります。

 

そんな年収ともに700万円以上のパワーカップル。仮に返済負担率が20%でペアローンを組んだとしましょう。返済金利は1%、返済年数は30年、毎月返済額は23万円(返済負担率20%)とすると、借入可能額は7,150万8,625円、利息は1,129万1,375円、返済総額は8,280万0,000円となります。頭金を物件の3割ほど用意できれば、億ション購入だって夢じゃない返済プランとなります。

 

ただ物件価格だけに捉われてタワマンを購入した結果、思わぬ出費増で家計破綻のリスクに直面するパワーカップルが後を絶たないといいます。出費増の主な要因は、管理費や修繕積立費の大幅な増額です。

 

国土交通省『平成30年度マンション総合調査結果』によれば、20階以上のタワマンの管理費は、平均平均は月額2万1,420円、修繕積立金額の平均は月額1万3,699円、合計3万5,119円でした。高さ19階未満のマンションと比較すると約1.3倍にもなります。

 

積立修繕金は、1回目の修繕以降、大幅にあがることがあります。その要因のひとつが修繕金の設定方法。年数に応じて段階的に修繕積立金を値上げしていく「段階増額積立方式」を採用していると、新築時の修繕金は安くすることが可能。販売会社にとってもお得感を演出でき有利だといえます。ただし、年数に応じてどこまで高くなるのか不明瞭なことも多く、結果的に、入居年数が経つにつれて負担が大きくなってしまうのです。

 

また値上げについて住民全体の合意が得られず、大規模修繕時に資金が不足。足りない分を賄うために、多額の一時金が徴収されることもあり得ます。

 

さらに管理費の増額も視野に入れておく必要があります。タワマンに付随するサービスとして、コンシェルジュサービスや24時間友人管理など、人手を要するものが多くあります。人件費の高騰がダイレクトに反映されるサービスであり、長く住んでいればそれだけ、管理費増のリスクに直面するといえるでしょう。

 

タワマン購入の検討の際には、管理費や修繕衝立金が周辺エリアと比べて安すぎたり高すぎたりしないか、将来、大幅増額のリスクはないかなど、しっかりと目を向ける必要があります。物件価格や初期費用だけで判断すると、高収入のパワーカップルとはいえ、「住んでいるうちに家計が火の車」という事態に陥る可能性があるのです。