新築分譲マンション購入者、6人に1人がフルローン利用
頭金は物件価格の2~3割を入れる……これが住宅購入の際の常識とされてきました。ただ「そうではない」人も増加傾向にあるといいます。
リクルート・SUUMOリサーチセンター『2021年首都圏新築マンション契約者動向調査』によると、新築マンション購入者の自己資金比率は平均19.1%。物件価格に対して、およそ2割ほどの頭金を用意しています。一方、自己資金ゼロ、フルローンでマンション購入に踏み切った人は16.4%、6人に1人という割合でした。
フルローンの利用者で最も多いのが「夫婦のみの世帯」で20.2%。「子どもあり世帯」でも17.5%を占めています。20年前の2001年、フルローンの割合は2.5%だったので「フルローンでマイホーム購入」はまさに急増。スタンダードな買い方になりつつあるといってもいいでしょう。
フルローンを利用するメリットは大きく2つ。まずは、何といっても「購入までの時間を短縮できる」ということ。理想の物件に巡り合えたとき、頭金に充てるだけの貯蓄がなくても、フルローンを利用すれば、物件購入に踏み切ることができます。頭金の不足を理由に、マイホームを諦めなくてもいいのです。特に人気物件だと即決が求められることがあり、フルローンの利用がより効果を発揮するでしょう。
また頭金を必要以上に用意し、手持ちの資金が心許なくなるケースがあります。病気や怪我など、不測の事態が起きたときに対応できずに右往左往、ということもあるでしょう。フルローンを利用すれば手持ち資金を減らさなくてもいいので、その分、マイホーム購入後に余裕が生まれます。
一方で、フルローンの利用にはデメリットも当然あります。最大のデメリットは「借入額の増加」、それによって利息も増加し、総返済額が大きくなります。適用金利も高くなる傾向にあるので、余計に総支払額が大きくなるのです。
また売却の必要が生じたとき、支払額が大きいために、売却金額よりもローン残債が多いというオーバーローンになる可能性が高くなります。オーバーローンの状態では売却が難しくなり、最悪、自己破産に陥るケースも珍しくはありません。