増え続けるタワーマンション。しかし「地震が起きたときのことを考えると、タワマンに住むのはリスク」という人がいます。そこでタワマンと地震リスクについて、考えていきます。
たとえば「豊洲」とか…地震が怖いから「東京・臨海部のタワマンはやめておく」は正しい判断か? (写真はイメージです/PIXTA)

地震に備えるタワマン…耐震か、制震か、免震か

株式会社不動産経済研究所『超高層マンション動向2022』によると、2022年以降に予定されている超高層マンション、いわゆるタワマンは日本全国で307棟、11万2,142戸に達するといいます。そのうち東京23区内は119棟、5万8,576戸で、過半数を超えています。

 

さらに細かくみていくと、最も多いのが「港区」で32棟。「中央区」12棟、「品川区」10棟、「新宿区」「葛飾区」が7棟と続きます。昨今、タワマンといえば、都心臨海部が中心でしたが、最近は駅前再開発とセットで計画されることが多く、葛飾区はその典型的なパターン。「金町」や「立石」で、大規模な再開発が予定されていて、タワマンの登場で下町の風景が大きく変わると話題になっています。

 

一方でタワマンというと、何かとリスクが語られがち。特に先日、東京都が首都直下地震の被害想定を10年ぶりに見直し、「最大約2.2万台のエレベーターが非常停止し、多数の閉じ込めが発生する」という想定が報じられると、「やはりタワマンに住むのはリスク」という声が聞かれました。

 

このように地震の際にライフラインが停止することがタワマン最大の災害リスク。そもそもタワマンは地震の際には倒壊などの危険は非常に低い構造ではあります。高さ60mを超える高層マンション=タワマンは、耐震性をクリアする構造であることに加え、国土交通省の認定を受けることが義務付けられているからです。

 

タワマンは大きく「耐震構造」「制震構造」「免震構造」のいずれかの方法で建てられています。

 

「耐震構造」は、その名の通り、地震の揺れに耐えられるほどの強度をもった構造。ただ揺れ自体は建物に伝わりやすく、上層部ほど揺れが大きくなります。

 

「制震構造」は各階に衝撃や振動を抑える制震部材を用いて揺れを吸収する構造。地震の揺れや強風などの揺れに強く、多くのタワマンに採用されています。

 

「免震構造」は、建物と地面の間に積層ゴムなどを挟み、揺れ自体を伝えにくくする構造。ほか2つの構造よりも地震による揺れに強いといわれていますが、建築コストが高いため、採用されているのは一部の高級タワマンだけです。