日本人の8割が「老後の生活が心配」
政府が「経済財政運営と改革の基本方針(骨太の方針)で打ち出した「資産所得倍増プラン」。家計金融資産2,000兆円を貯蓄から投資にまわそうと、NISAやiDeCo個人型確定拠出年金の改革などで実現しようとしています。
そもそも国が投資を推し進めるのは、今回が初めてではありません。2000年代に入り、急速に高齢化が進むなか、いよいよ社会保障だけで高齢者の生活を支えられないことが現実的となりました。そのなかでたびたび「自助努力を」と言われるようになったのです。
そして2019年、金融庁の金融審議会「市場ワーキンググループ」の議論が切り取られ、「老後資金は2,000万円不足するから、自分たちでどうにかしなさい」という、いわゆる「老後資金2,000万円問題」が勃発。年金生活に突入する前に、「どうにか2,000万円は貯蓄しないと」と多くの人が資産形成に乗り出します。
実際、多くの人が「2,000万円」をひとつの目標としているようです。金融広報中央委員会『令和3年家計の金融行動に関する世論調査』によると、金融資産の目標額は平均値で3,233万円、中央値で2,000万円。また「老後のひと月当たり最低予想生活費」は平均月35万円で、「年金支給時に最低準備しておく金融資産残高」の平均は2,021万円でした。
2,000万円で足りるのか足りないのかはさておき、目標額が明確なのであれば、それに向けて資産形成に励めばいいだけ。しかし不安は尽きないようです。
同調査によると、「老後の生活が心配である」が84.5%。心配の理由のトップが「十分な金融資産がないから」で66.7%。20代から70代まで、6~7割が理由としてあげており、多くの人が思うように資産形成を進めていないことがわかります。
【老後の生活を心配する理由トップ5】
- 十分な金融資産がないから:66.7%
- 年金や保険が十分でないから:54.8%
- 現在の生活にゆとりがなく、老後に備えて準備していないから:24.4%
- 生活の見通しが立たないほど物価が上昇することがあり得ると考えられるから:23.3%
- 退職一時金が十分でないから:22.4%
出所:金融広報中央委員会『令和3年家計の金融行動に関する世論調査』より