分譲マンションの重いローン負担、さらに年々値上がりしていくのが…
首都圏、特に東京の場合は土地も限られていますので、戸建てよりもマンションを選択する人が多いでしょうか。
どのようなカタチであれ、人生最大ともいえる夢を叶えて満足か、といえばそうではないようです。やはり何千万円という大きな買い物、大半が住宅ローンを利用しますが、マンション購入者の55.9%の人が「負担あり」と回答。新築分譲マンションの平均価格は、土地価格の上昇のほか、建築資材の高騰などもあり、バブル期以降と最高値を更新とニュースになっていますから、低金利とはいえ、「ちょっと無理しないと買えない」というケースも増えているのでしょう。
さらにマンションの場合、管理費や修繕積立金といった購入後のランニングコストの負担は意外と見落としがち。東京カンティが2020年に発表した『首都圏 マンションのランニング・コスト最新動向』によると、首都圏の新築マンションにおいて、管理費は2015年以降5年連続で、修繕積立金は2016年以降上昇。過去10年間の上昇率は、管理費は18.4%、修繕積立金は22.1%も上昇しています。
タワーマンションなど、高価格帯のマンションの供給が増えたことで平均値が上昇した、という背景もありますが、マンションの管理業界、建設業界の人手、資材の不足などもあり、維持管理費が値上がりしている影響も大きいと考えられます。
マンション購入者の平均世帯主年齢は39.5歳*1。一方、2021年、東京に住む40歳のサラリーマンの平均月収は46万3,200円、手取りにすると34万円。10年前の平均月収は49万5,600円で、手取りは36万円ほどでした*2。10年でマンションの管理費や修繕積立金は2割ほど上昇したというのに、月収は減少していました。年齢と共に「給与はあがる」と考える人は多いですが、予想通りに給与アップがなければ、家計破綻という可能性も現実味を帯びてくるのです。
マンション購入者の6割が「永住するつもり」で、その数は増加傾向にあります*3。マイホームの実現は多くの人にとって夢ですが、マイホームに住み続けることは意外にも困難です。マンションを買ったけれど、年々値上がりする管理費・修繕積立金に追い詰められていく……そんな末路を辿る人も珍しくありません。
マンションに限らず住宅には必ず維持管理にコストがかかりますが、購入者の多くは見落しがち。さまざまなモノが値上がりしていますが、マンションの管理費や修繕積立金も値上がりすることを前提にプランニングすることが重要です。
*1:国土交通省『令和3年度住宅市場動向調査』より
*2:厚生労働省『賃金構造基本統計調査』東京「40~44歳」男性の平均月収より
*3:国土交通省『平成30年度マンション総合調査』より