39歳でマイホーム実現も、結婚12年目に離婚に至ったサラリーマン
内閣府『離婚と子育てに関する世論調査』(令和3年10月調査)によると、「愛するパートナーと生涯を共に過ごすこと」「二人の間に子どもをもうけて育てること」を挙げた者の割合が男性では多く、「二人が経済面や家事の分担で助け合って生活すること」を挙げた者の割合が女性では多くなっています。この意識の差が、夫婦のすれ違いを生む原因でしょうか。
不幸にも離婚を選択することになったとき、さまざまなことが論点になりますが、そのひとつが「養育費」。離婚した同居親は、別居親から養育費を受け取ることとされていますが、「別居親は同居親よりも多く負担するべき」が17.2%、「別居親と同居親は同程度負担するべき」が65.2%。男性のほうが別居親になるケースが多く、その場合、金銭的にそれなりの負担を覚悟しておかないといけないでしょう。
さらに論点になりやすいのが「マイホーム」。不動産の名義が夫、債務も夫、しかし夫は別居親で、妻と子どもが住み続ける……そんなよくあるケースを考えてみましょう。
分譲マンションの購入者・購入物件の平均は以下のとおり。平均的なタイミングで結婚、マイホーム購入、そして離婚に至ったとすると、31歳で結婚、39歳でマイホーム実現、43歳で離婚となります。
【分譲マンション「購入者・物件」の平均像】
世帯主年齢:39.5歳(一次取得者)
世帯年収:852万円(一次取得者)
購入資金:4,674万円
借入金:3,337円
返済期間:32.0年
年間返済額:150.4万円
出所:国土交通省『令和3年度住宅市場動向調査』より
金利1%と仮定すると、月々の返済は10万1,581円。離婚時には3,014万円の残債があることになります。
この状態で離婚に至った場合、養育費をもらう代わりに、夫が住宅ローンを支払い続けるパターンが考えられます。夫はもう住んでいないとはいえ、ローンの支払いを滞納すれば、元妻と子どもは立ち退きを迫られる可能性があります。元妻とは縁が切れたとはいえ、子どもはいつまでも我が子。親としては、何としてもローンの支払いを続けたいところです。
厚生労働省『令和3年賃金構造基本統計調査』によると、40代前半の会社員(正社員)の月収は、平均40万4,300円、手取り30万円ほどです。そこから10万円の住宅ローンを支払い、さらに自身の住居費も払うとなると……家計に余裕があるとはとてもいえません。「住宅ローン破綻」の可能性も高いでしょう。
「ごめん、お父さん、もうローンを払い続けることができない……」。そんなことになり、子どもを不幸にしないためにも、元妻も元夫が住宅ローンを払えなくなった場合に備える必要があります。また債務者と居住者が異なるので、事前に金融機関と協議しておく必要もあるでしょう。