過去に株式市場が大暴落をしたことも何度もありました。1987年のブラックマンデー、2001年のITバブル崩壊、2007年のサブプライムローン問題、2008年のリーマンショック……、これらすべてはアメリカ発の金融危機です。貯蓄好きな日本人向きの投資方法はあるのでしょうか。ファイナンシャル・プランナーの渡邊一慶氏が著書『定期預金しか知りませんが、私、本当にお金持ちになれるんですか?』(秀和システム)で解説します。
アメリカ型VSヨーロッパ型…日本人に向いている投資法はどっち?

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アメリカ発の金融危機が多い理由とは?

■これからは「ヨーロッパ型の投資」で手堅く増やそう

 

渡邊 ところで、世界でいちばん投資が盛んな国ってどこだと思いますか?

 

――やっぱりアメリカでしょう。ウォール街なんて、まさに金融の街っていうイメージがあります。

 

渡邊 そう、投資といえばやっぱりアメリカを想像しますよね。アメリカは世界一の投資大国ですが、アメリカ型の投資を真似すると、回復不可能なほどの大失敗をしてしまう可能性もあるんですよ!

 

――お、最初の話ですね。じつは気になってたんですが、それはアメリカ型の投資スタイルに問題でもあるのでしょうか?

 

渡邊 もちろん、大アリです! それは歴史を見ればわかります。世界経済は、中長期で考えれば緩やかに右肩上がりの成長を続けていく、という話をご存じですか?

 

――聞いたことがあります。でも、時には景気が冷え込むこともありますよね?

 

渡邊 ええ、好景気と不景気を繰り返しているんです。ですから、過去に株式市場が大暴落をしたことも何度かありました。たとえば、1987年のブラックマンデー、2001年のITバブル崩壊、2007年のサブプライムローン問題、2008年のリーマンショック……。これらすべてはアメリカ発の金融危機です。

 

――言われてみれば、たしかに……。でも、多くの金融危機が、どうしてアメリカ発なんでしょうか?

 

渡邊 アメリカ人が、積極的にリスクを取りすぎているからです。アメリカンドリームという言葉を聞きますよね。日本のプロ野球で活躍したトップ選手が、何人も海を渡ってメジャーリーグに挑戦しますが、10年以上活躍し続けた選手はほんの数人しかいません。アメリカという国は、それだけ勝者と敗者の差が激しい国なのです。

 

――まあ、アメリカは一攫千金のイメージがありますよね。大成功をして夢を叶えるか、大失敗をしてすべてを失うか……。

 

渡邊 それがまさに、投資スタイルでも同じなんです。アメリカ人は、とにかく儲けたもん勝ちなんですよ。レバレッジという言葉を聞いたことがありますか?

 

――ちょっとだけ。たしか、FXとかでよく使う手法ですよね?

 

渡邊 はい。レバレッジとは、てこの原理のことです。少ない資金で大きな取引ができるのですが、簡単に言うと借金をして投資をしているような状況です。経済が順調に推移して、資産価格が上昇すれば大きな利益を得ることができますが、予想に反して不景気になった場合、資産価格が暴落して借金だけが残ってしまいます。先ほどあげたアメリカ発の金融危機は、すべて大儲けをしようとしてレバレッジをかけすぎた結果、バブルがはじけてしまったんです。

 

――そうだったんですね。バブル経済って、日本だけのものかと思ってました。

 

渡邊 アメリカは、もう何度もバブルを経験してます。2021年に、アメリカ株は史上最高値を更新しました。しかし、何度も金融危機を引き起こし、そのたびに多くの資産を失った人もいるのです。いかにアメリカ型の投資が多くの日本人に合わないか……よくおわかりでしょう。そもそも、ハイリスク・ハイリターンという考え方からして、おそらく丑久保さんには合わないですよね?

 

――はい、大成功か大失敗かなんて極端すぎます。アメリカンドリームなんか求めていません。今よりいい生活をしたいだけです。

 

渡邊 そうでしょうね。私もそうですし、おそらく多くの日本人が丑久保さんと同じだと思います。でしたら、ヨーロッパの富裕層が実行している「守りの資産運用」を一緒に学んでいきましょう。私はスイスのプライベートバンクで、自分の資産を守りつつ増やしたいという、まさに多くの日本人が望んでいそうなお客様と接してきました。そんなに難しいことではありませんから、しっかりついてきてくださいね。

 

渡邊 一慶
ファイナンシャル・プランナー

 

 

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