投資で成功するためには「7割守って3割攻める」ことです。守りとは安定、攻めとは上昇。つまり、リスクの高い株式より、債券や株の配当金、投資信託の分配金など安定した利回りが確保できる「守りの投資」を投資額全体の7割にします。ファイナンシャル・プランナーの渡邊一慶氏が著書『定期預金しか知りませんが、私、本当にお金持ちになれるんですか?』(秀和システム)で解説します。
スイスの手堅い資産形成術「7割守って、3割攻める」の黄金律

資産運用で大切なことは、大失敗をしないこと

■預金、投資、保険を3割ずつ保有しよう

 

渡邊 それではもう少し詳しく、スイスの資産運用の概要について見ていきましょう。株式、債券、投資信託のことを、金融用語で「有価証券」と言います。私たちが投資という場合、有価証券のことを意味します。これを踏まえた上で、アメリカ、日本、ヨーロッパの家計金融資産構成比を思い出してください。まずは、各国の資産を「預金・投資・保険」に分けて見ましょう。保険には、年金と定型保証も含みます。

 

――アメリカの資産は、預金が13.7%、投資が50.8%、保険が32.6%と……日本の資産は、預金が54.2%、投資が14.4%、保険が28.4%になっています。

 

渡邊 では、ヨーロッパの資産はどうなっていますか?

 

――ヨーロッパの資産は、預金が34.9%、投資が27.9%、保険が35.1%です。

 

渡邊 資産運用で大切なことは、大失敗をしないことです。大失敗とは、資産をすべてなくしてしまうような大損をすることです。投資のことをまったく知らない人が、退職金をすべて投資に回して大損をしたという話も時々聞きます。大切な資産を守りながら増やすためには、預金と投資と保険を3割ずつ保有します。

 

――そういえば、欧州の資産構成は、おおむね3割ずつになっていますね。たしか、保険や年金の一部にも有価証券への投資が含まれていましたよね。

 

渡邊 いいポイントに気がつきましたね! 資産運用で失敗をする人の特徴は、投資の知識を身につける前に、積極的にリスクを取りすぎてしまうことです。つまり、保有資産に対して、有価証券の割合が高すぎるのです。

 

――なるほど。たしかに、投資初心者がアメリカ人のように、全財産の半分以上を投資していたら危険ですね。

 

渡邊 その通りです。投資慣れしているアメリカ人ですら、一気にお金をなくすこともあるんですから、初心者の日本人が投資に突っ込みすぎるのは危険です。まずは、自分の全財産を預金と投資と保険に分けて、ざっくり3割ずつになるように保有します。預金は今必要なお金、投資は将来必要なお金、保険は万が一に必要なお金というイメージです。

 

――「きっちり」じゃなくてもいいんですね?

 

渡邊 はい。ポイントは「ざっくり」です。仮に資産が1000万円あるとしたら、預金と投資と保険をだいたい300万円ずつになるように保有します。あまり厳密にやりすぎると、途中で面倒くさくなって挫折してしまいます。投資を始めると、株価や為替などの影響で、つねに自分の資産価格は変動します。そのため、最初に決めた比率をずっと維持するのはあまり現実的ではないんです。

 

――誰でも簡単にできることじゃないと、継続できなさそうですしね。

 

渡邊 その通りです。資産を、預金と投資と保険の3つに分散したところで、ようやく投資のスタート地点に立てました。次は、どの有価証券に投資をするのかを考えましょう。具体的には「ポートフォリオ」を作成していきます。

 

――ポートフォリオ……よく聞く言葉ですが、難しそうですよね。私なんか、あらゆる科目の中で数学がいちばん苦手だったので、大丈夫ですかね?

 

渡邊 大丈夫ですって(笑)。そもそも数学の知識は必要ありません。スイスでも、投資の授業は数学の要素なんてそんなに入っていませんよ。ポートフォリオだって、大切なポイントをおさえておけばいいだけです。

 

――大切なポイント?

 

渡邊 はい。ポートフォリオの大切なポイントは、投資をする商品によっても、リスクがまったく異なるということです。投資では、リスクとリターンの関係を考えることが大切なのです。

 

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