持ち家志向の高い日本。さらにマンションよりも戸建てという傾向が強いようです。またマイホーム実現の年齢が上昇しているなか、高齢者になっても住宅ローンが残っているのことも珍しくなくなっています。しかし戸建ての場合、建てたら終わりではないことを忘れてはなりません。みていきましょう。
夫婦で月22万円だったが…70代・年金暮らし「住宅ローン返済額」の衝撃度 (写真はイメージです/PIXTA)

住宅ローン完済…それでマイホームは終わりではない

人生100年時代といわれていますから、70代でも現役で給与収入等あるのであれば不安もないですが、年金だけが頼り、という場合はどうでしょう。

 

前出の家計調査によると、65歳以上、無職の夫婦のみの世帯において、年金受給額は月に21万5,603円、毎月の赤字額は1万8,525円。平均1万8,000円ほどの住居費がかかっているなか、11万円強の住宅ローンの支払いがあったら……十分な貯蓄があればいいのですが、かなり厳しい家計運営になることは明らかです。

 

さらに30年ほどかけて住宅ローンを完済したとしましょう。しかし住宅にかかるお金はそれだけではありません。国土交通省の調査によれば、リフォームする住宅の平均築年数は28年ほど。そう、住宅ローン完済と同時にリフォームを考えなければいけないのです。

 

日本人の健康寿命は75歳ほどといわれているので、これからも我が家で住み続けるのであれば、バリアフリーなど、高齢者対応のリフォームを施したいもの。リフォーム資金は平均で207万円。自己資金率は81.6%なので、40万円ほど借入をしてリフォームを行っています。

 

ただ70代で借入をするのは、審査も厳しく、実際、金融機関は「年齢」を理由にローンを断ったり、希望額に対して減額での融資を行っています。70代で自宅をリフォームするなら、すべて自己資金でまかなうのが現実的です。それが叶わないのであれば、高齢者には住みにくい家に住み続けるしかない、そんな辛い老後を覚悟しなければなりません。

 

そうならないためには、たとえ30年を超えるローンを活用してマイホームを実現したとしても、繰り上げ返済を行い、年金暮らしの前に完済。さらに老後の生活資金に加え、リフォーム資金もしっかり確保しておく、といった堅実なマネープランを実行することが得策だといえるでしょう。