コロナ禍で一時期は「コロナ移住」という言葉が生まれるほど、人混みを避けるために都心から地方へ人が移ったと言われていました。しかし、人口の推移から見る限り、東京での不動産投資は、この先も安泰といえそうです。みていきましょう。
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コロナ禍でも申込殺到してしまう賃貸経営の5ポイント

本章では、コロナ禍でも申し込みが殺到してしまい、キャンセル待ちまでできるような、賃貸経営がうまくいくポイントを5つに分けて解説します。

 

多様化に応えらえる賃貸住宅

ライフスタイルが多様化している現代では、生活の仕方も多様化しています。例えば、平日は都心部でバリバリ仕事をし、週末には都会を離れた海の近くの第2の家で、ゆったりとした生活をするという「2拠点生活」を始める人が、若い方の中に増えてきています。

 

また、生活用品と住宅のサブスクリプション(定額)型住居サービスを利用することで、生活必需品や家具などを一切持たず、住まいの拠点を1つに定めない「多拠点生活」というライフスタイルもあります。

 

このような暮らし方は、基本的にはスマホさえあれば実現可能であり、モノだけでなく人生にも余計な費用が発生しないコンパクトな生き方として好まれています。

 

「持たない」生き方をする人は、家は買うよりも、ライフスタイルに合わせて変えられる賃貸の方が向いており、その時の自分らしさを体現できる住まいに対して、高い価値を感じる傾向があります。

 

つまり、従来のような、大手デベロッパーが準備した「これが素敵な住まいです」というアイデアをデフォルトとして受け入れるのではなく、自分にとって価値があると感じられる場所で、自分にとって大事なものだけに囲まれて生きるという、個性を大事にした生き方が体現できるような賃貸住宅が、現代では求められているのです。

 

時代の感性に合った賃貸住宅

昨今のリノベーション技術の進歩もあり、築年の古いマンションに手を加えて魅力ある物件に生まれ変わらせ、自分らしい部屋を作るのが人気です。リノベーション業者に任せる方法や、自分で少しずつ手を加えるなど、さまざまな方法があります。

 

リノベーションは、建物の骨組みだけを残して内装・設備・外装をすべて作り直し、配管までを取り換える、まさにゼロから作り直すタイプの施工です。そのため、中古の建物全体が持つエイジングした雰囲気は上手に残したまま、部屋の中は今の感性という、良いとこ取りができます。

 

このような部屋作りは、賃貸住宅にはまだ珍しく、リノベーションをかけた個性のある部屋や、自分らしさを体現できるタイプの賃貸住宅には、「空室が出たらぜひ住みたい」と何年も先までキャンセル待ちができるほど、申し込みが殺到することもあります。

 

長く住むことが前提の賃貸住宅

入居をしたら、長く住むことを前提に借りる賃貸住宅も人気があります。賃貸住宅のデメリットとして、持ち家のように釘が打てない・壁紙などが思う様なものにできないなど、自分が好きなように手を加えられないという点があげられます。

 

しかし、長く住むことを前提にしてもらうのであれば、家の中に釘や鋲を打っても良い場所や、壁紙を張り替えても良い場所があっても良いはずです。たったこれだけのことで、室内はその人らしさで溢れるようになり、長く住んでいる間に起きる「飽き」を起こさずにすみます。

 

また、最初から手入れをして使うことが前提の資材を室内に使うことで、自分の家のようにメンテナンスをしながら、愛情を持って部屋を育てていくという暮らし方も提案できます。

 

たとえば、天然無垢材のフローリングには、定期的なワックスがけが必要ですし、部屋のアクセントになる大きな木の柱には、オイルによるメンテナンスを何年もかけてすることで、素晴らしい飴色の艶が出始めます。

 

このようにして、住む人によって手をかけられた賃貸住宅は、アンティーク家具のような味わい深い雰囲気を醸し出すようになります。代替わりをするときも取り除いて新品に変えるのではなく、「このままで住みたい」と思う次の世代へと大事に受け継がれることで、賃貸住宅としての資産価値も上がります。

 

人とのつながりが生まれる賃貸住宅

都会のマンション暮らしの最大の欠点は、都会らしい「無関心」であることでしょう。それが気楽で自由な雰囲気を生み出すのですが、あまりに無関心が行き過ぎると、隣に住んでいる人の名前も知らなければ、顔も見たいことがないような、寂しいシチュエーションになってしまうこともあります。

 

マンション内にメンテナンスが必要な資材を使うなどがあると、そのためのメンテナンス講習などの集まりを開催することができます。

 

また、同じエリアに入居した人達でつながれるSNS運営など、賃貸住宅を提供する側が、さまざまな確度から、つながりの拠点を発信することで、入居者が自分の意志で自由に出入りができるタイプの、フンワリとした人間関係が生まれます。

 

このような、距離感のあるやさしい人間関係のある賃貸住宅は、コロナ禍のような社会不安が大きいときにも、大きな心の支えとなり、しだいに離れがたい第2の地元へと育っていきます。

 

自分らしさを体現できる賃貸住宅

賃貸住宅であっても、自分らしいところに住みたいと思うのは決して贅沢なことではありません。

 

たとえ、自由にペンキを塗ったり、壁にドリルで穴をあけることができなくても、部屋にちょっとだけ自分らしさを足せるという選択肢があれば、賃貸でも個性を発揮することができるはずです。

 

たとえば、部屋の3割程度をあえて白紙で残しておき、入居者が自分で考えて完成させることにより、外から見たら画一的なマンション居室であっても、その人の個性が反映されたオリジナルな物件になります。

 

また、現在よくある賃貸マンションのほとんどは、業務用に用意された画一的な壁紙・フローリングで仕上げるため、そのままでは個性を出すことは難しくなっています。しかし、室内のリノベーションをするときに、世界観を持ったテイストを入れれば、それは居室の個性となり、その感性にあった入居者を自然と呼びこみます。

 

たとえば、西海岸風・パリのアパルトマン風などの国ごとのテイストや、パステル調・木目調など、色やテキスタイルによるものなど、部屋の作り込みのコンセプトによって、自在に個性を表現することが可能です。

 

さらに、自分らしさは部屋の中だけではなく、エリア全体も含んだものであるという考えがプラスされることにより、部屋の中でも外でも、自分らしい理想のライフスタイルがずっと続いていくことになります。

 

このように、その人のセルフイメージを満たすタイプの部屋づくりは、入居者に深い満足感を与えることができるため、愛着を持って長い期間住み続けてくれます。

 

山崎 博久

リズム株式会社

アセットコンサルティング事業部長