低すぎる基本給…会社が喜ぶカラクリ
「うちってブラック企業かもしれない……」
そう感じているなら、一度、給与明細をしっかりとチェックした方がいいかもしれません。ブラック企業ほど、基本給を異常なまでに低く設定している可能性があります。
そもそも給与明細を渡さないというのは、完全な違法行為です。
給与明細書(所得税法第231条)
所得税法では、給与を支払う者は給与の支払を受ける者に支払明細書を交付しなくてはならないと定められています。したがって、会社には従業員に給与明細書を交付する義務があり、給与を支払う際に交付しなければいけません。
また基本給を低く設定すれば、それが反映される賞与や残業代を低く抑えることができ、会社側にとっては人件費の圧縮となります。
厚生労働省『令和3年賃金構造基本統計調査』によると、正社員として働く人たちの基本給の平均は32万3,400円、手取りにすると25万円ほど。中央値は28万4,400円で、上位10%は49万8,600円、下位10%は19万2,500円です。また年齢別にみていくと、20代を除き、おおよそ基本給20万円前後が下位10%の基準であることがわかります。
【年齢別「下位10%の基本給」】
20~24歳:158,400 円
25~29歳:173,400 円
30~34歳:190,100 円
35~39歳:197,900 円
40~44歳:204,700 円
45~49歳:210,700 円
50~54歳:210,900 円
55~59歳:212,000 円
60~64歳:208,300 円
厚生労働省『令和3年賃金構造基本統計調査』
さらに基本給12万円以下。給与がそれだけだとすると、月々の手取り額が10万円を下回るのが正社員の0.6%。年齢別にみてみても、全世代0.4〜0.6%程度はいます。200人に1人は正社員でありながら、基本給12万円という世界で働いているのです。
もちろんその分、インセンティブで、という働き方もあり、従業員が納得のうえで働いているのであればまったく問題はありません。ただ正社員で月12万円以下というのは、少々驚きの基本給です。