「若い人は受け取れる年金額は少ないから大変だね」は本当か?
人口減少、低迷する経済、拡大する格差……先行き不透明な状況下、さらに資源高騰、物価高と、不安や心配は増すばかり。特に若い人の間で気になるのは老後の問題です。
「自分たちが年を取ったとき、年金はもらえるのだろうか……」
高齢化と耳にタコができるくらい聞かされていますし、現役世代2人で1人の高齢者を支えている社会であることは、学校の授業などでも習ったことでしょう。若くして老後の心配をするのも、仕方のないことかもしれません。
「若い人たちは、これから納めていく保険料よりも将来受け取れる年金額の方が少ないから、大変だね」などという意見が聞かれます。
本来、公的年金制度は社会扶助のもとなりたっているものなので、損得の観点で考えるのは違うことかもしれませんが、厚生労働省ではホームページ内で「これからも皆さんが納めた額以上の公的年金を給付できる見通しで(公的年金の)制度を運営しています」と言っています。国がそういっている以上、とりあえず信じるしかありません。
国民年金に加入する人が毎月納付する年金保険料は定額で、2022年度は月1万6,590円。満額時の老齢基礎年金は、2022年度月額6万4,816円。一方厚生年金の保険料は月ごとの給料に対して定率で、個人によって納付額は異なります。実際に受け取れる厚生年金は、以下の計算式で算出します。
■加入期間が2003年3月まで
平均標準報酬月額(≒平均月収)×7.125/1000×2003年3月までの加入月数
■加入期間2003年4月以降
平均標準報酬額(≒平均月収+賞与)×5.481/1000×2003年4月以降の加入月数
これらで単純計算すると、平均的な会社員の給与であれば、月額14万円程度の年金を受け取ることになります。共働き夫婦で、二人とも同じような給与であれば、月額28万円程度、片働きであれば、月額21万円程度です。
公益財団法人生命保険文化センターの調査によると、老後夫婦で最低限の生活を送るのに必要だと考えられる金額は月22.1万円。旅行やレジャー、趣味などにもお金をかけ、ゆとりのある老後を送るには36.1万円が必要としています。
月14万円は、最低限の生活は確保されるという水準。もちろん、これは現行の制度に則って単純計算したものであり、若い人が年金を受け取るだろう40年後、これだけの年金がもらえるかどうかの保証はありません。