低すぎる給与、長時間の労働、常態化しているハラスメント……さまざまな問題を抱えるブラック企業。今回は「給与」に焦点をあてて考えていきます。
平均手取り25万円だが…絶望するしかない、ブラック企業の「少なすぎる基本給」

もしかして「ブラック企業!?」…その基準は?

ブラック企業。

 

この言葉が生まれたのは2001年。巨大掲示板で生まれた就職活動板が発祥です。2008年には書籍『ブラック会社に勤めてるんだが、もう俺は限界かもしれない』(新潮社)が出版され、2013年には「ブラック企業」が新語・流行語大賞を受賞し、世に定着しました。

 

厚生労働省では、ブラック企業を特に定義しておらず、色々な言われ方をしていますが、年に1回、大賞を決めていた『ブラック企業大賞』のホームページによると、以下のように定義しています。

 

①労働法やその他の法令に抵触し、またはその可能性があるグレーゾーンな条件での労働を、意図的・恣意的に従業員に強いている企業、

 

②パワーハラスメントなどの暴力的強制を常套手段として従業員に強いる体質を持つ企業や法人(学校法人、社会福祉法人、官公庁や公営企業、医療機関なども含む)

 

出所:ブラック企業大賞ホームページ

 

分かりやすくいうと「残業時間」「労働条件」「人事権」「ハラスメント」の4つの基準で考えると、ブラック企業といえるかどうか、みえてくるでしょう。

 

残業時間では「月45時間」。法律上、会社が命じることができる残業時間の上限は、原則45時間。繁忙期は別として、これが常態化している企業はブラック企業の可能性があります。

 

1ヵ月20日程度の出勤と考えると、1日あたり2時間強の残業……意外と、多くの企業が当てはまりそうです。

 

「労働条件」については、まずは賃金。最低賃金を下回っているかどうかが、ひとつの基準。東京都であれば、時給1,041円になります(令和3年10月1日~)。

 

ほかにも「説明のない賃金の引き下げ」「サービス残業」「年間休日105日以下」「有給休暇が承認制」なども、ブラック企業かどうかを見極める基準になります。

 

「人事権」については「理由なき解雇」「届け出なしの退職扱い」「退職届を提出も退職できない」など、恣意的な人事権の行使がブラック企業かどうかの基準です。

 

「ハラスメント」については「ハラスメントの是正処置が講じられない」「相談窓口がない」「相談することで不利益を被る」などがあれば、ブラック企業の可能性が高いでしょう。

 

またブラック企業の例としては、厚生労働省が公表している『労働基準関係法令違反に係る公表事案』が参考になります。