市場規模が大きくないことは、世界的な大企業の参入を阻止してくれる要因にもなります。スリランカのeコマース市場は、スリランカのベンチャー企業にこそチャンスがある分野かもしれません。スリランカのネットビジネスの現状と今後についてお伝えしている連載の後編です。

「小さな市場規模」がアマゾンなどの巨人を排除

幅広い消費者に対して耐久消費財を販売するオンラインポータルサイトは、地域のネットビジネス界における巨大企業である。この分野では、大手通信会社とベンチャーキャピタルファンドが支援するポータルサイトが、利益の大部分を得ている。またこの分野は、アマゾン社やフリップカート社など、世界的な大企業の参入によって、競争が激しくなり、利益が削られる恐れに常にさらされている。

 

スリランカに関しては、その市場の小ささから、世界的な巨大企業が参入する可能性は低い。一方で市場の小ささは同時に、このカテゴリーでトップになる企業の成長可能性を狭めているともいえる。まだまだ新興分野であり、新規参入企業は市場を根本的に拡大させているが、それは同時に市場の飽和を進めているともいえる。

ネットビジネスに乗り出した既存企業

インターネットで買い物をする人が増加している現実と、通常の流通経路を取り除くことによる高いマージンへの期待から、スリランカでは既存ブランドが続々とeコマースを始めている。

 

しかし、このような企業の大多数は、オンライン・マーケティングの知識がない。そのため、伝統的なマスメディア広告を通じてウェブサイトの集客を行っているが、クリック報酬型広告のような他のオンライン・マーケティング手法と比較すると費用がかかってしまっている。そのため、このような企業に向けてKapruka社など「経験豊富な」ネットビジネス界の大企業が、eコマース関連サービスを提供するなど、新しい市場も作り出されている。

 

eコマース競争が加熱するなかで、おそらく地元のインターネット・ベンチャーが最も利益を得ることになるだろう。より多くのトラフィックを誘引することで、eコマースのプレーヤーはトラフィックが多いウェブサイトの広告費を競り上げられるからだ。さらに多くの人をオンラインに呼び込み、インターネットでの取引を習慣づけることができれば、送金サービスやデジタル・コンテンツのやりとりなど、ネット上でのマーケットプレイスを開設するようなビジネス・モデルにも道は開いていくだろう。

この連載は、GTACが提携するスリランカのメディア「ECHELON」2015年7月号に連載された「E-commerce in Sri Lanka」を、翻訳・編集したものです。

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