インターネットを使っての商取引が徐々に広がり始めてきたスリランカ。電話回線が普及する前に、携帯電話が普及したように、途上国における技術の発展の過程は、日本と大きく異なる場合があります。前編の今回は、スリランカのeコマース(EC)の現状をお伝えします。

インドから波及したeコマースブーム

インドのeコマースのブームがスリランカに波及し、ネットビジネスへの関心が急上昇している。ローカルのインターネット・ベンチャーに加えて、多くの店舗型企業もブームに乗ろうとしている。そのような従来型の店舗型企業では、今まで企業のホームページさえ持ったことがなく、eコマースが初めてのインターネットの利用とにもなっている。

 

eコマースを始めるのに必要となる、決済サービスや配達車両などの費用は、今では削減することが可能になっている。カスタマイズが可能な店舗ページや、共通の決済サービスを提供するShopbox社、受注から入金管理まで一連の電子商取引業務を提供するKapruka社のような企業が、必要な機能とサービスを提供しているからだ。そのためオンラインビジネスはインフラ投資の必要がなく、企業は早く、安く撤退することができると言われている。

eコマースにおける3つの分野

ネットビジネスを始めるリスクと費用が下がり、また多くの地元企業がネットビジネスを始めるように促されたことにより、スリランカのeコマース市場は拡大した。Takas.lkやWow.lkのような有力企業もいくつか現れたが、スリランカの消費経済自体の規模はまだ小さく、新規参入企業にとっては将来性は不透明となっている。

 

スリランカのeコマースサイトは、大きく3つのカテゴリーに分類できる。アクセサリーや服飾など狭く垂直なマーケットに絞ったニッチプレーヤー、電子機器からインテリアにわたる多様な商品を提供する大規模プレーヤー、そしてオンライン店舗を通じて販売する従来型企業だ。各カテゴリーには、それぞれ可能性や課題、競争がある。

 

まずeコマースにおけるニッチプレーヤーは、大多数がファッション業界に属している。低価格と製品のカスタマイズによって、従来型の小売業者との差別化を図っている。製品のカスタマイズはもちろんメリットではあるものの、ビジネスのスケーラビリティを制限する諸刃の剣でもある。オンライン・メディアの長所を組み合わせ、優れたユーザーエクスペリエンスを可能としたことで、findmyfare.comのようなニッチプレーヤーは市場を独占した。オンライン小売業者にとっては、おそらく困難な戦略ではあるが、消費者を惹きつける決定的な差別化をもたらすものでもあった。

 

後編では、スリランカのベンチャー企業の可能性についてみていきたい。

この連載は、GTACが提携するスリランカのメディア「ECHELON」2015年7月号に連載された「E-commerce in Sri Lanka」を、翻訳・編集したものです。

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