20階以上の高さを誇る、いわゆるタワマン。ひと昔前はタワマンは富の象徴というイメージが強かったですが、都心に限らず、郊外、地方でも作られるようになってからは、一般の人でも身近な存在になっています。そんな人気のタワマンですが、先行きは暗いという声も。みていきましょう。
もうすぐ訪れる「タワマン」の終焉…大量売れ残り時代の到来か

タワマンの購入者…一般の会社員層へ拡大も

富裕層によるタワマンを活用した税金対策は以前から問題視されていたので、以前ほど富裕層はタワマンに興味を持たなくなったといわれています。

 

しかし全国でタワマンは増え続けています。不動産研究所『超高層マンション2021』によると、2021年以降の完成が計画されているタワマンは全国で173棟。東京23区が118棟、大阪市が31棟と、はやり大都市圏が多数を占めていますが、たとえば長崎県や福島県で2棟、青森県や山形県、富山県、香川県、大分県で1棟と、人口が最大の都市で50万人にみたない地方でも続々とタワマンが計画されています。

 

増え続けるタワマン。すべて億ション、という一部のタワマンを除き、現在の主な購入者層は富裕層から一般の会社員に変わってきているといわれています。

 

未曽有の低金利、長期の住宅ローンを組めば、会社員でも5,000万程度の物件であれば購入できます。さらにペアローンを利用すれば、共に高収入の共働き夫婦であれば、1億円程度のタワマンでも検討範囲内というわけです。

 

たとえば、夫婦ともに大企業に務めている夫婦の年収は、単純計算、40代前半で1,300万円、50代前半で1,600万円に達します。たとえば1億円の融資を受け、30年のローンを組んだとすれば、1ヵ月の返済額は30万円ほど。1人あたりの負担額は15万円程度。現実的な返済額だというわけです。

 

【大卒会社員の推定年収の推移】

20~24歳:3,573,100 円/3,415,400円

25~29歳:4,952,300 円/4,463,700円

30~34歳:5,965,700 円/4,841,600円

35~39歳:7,027,500 円/5,252,000円

40~44歳:7,797,200 円/5,770,700円

45~49歳:8,407,000 円/5,924,900円

50~54歳:9,542,800 円/6,714,400円

55~59歳:9,396,300 円/6,232,300円

60~64歳:6,154,300 円/4,604,500円

 

出所:厚生労働省『令和3年賃金構造基本統計調査』より算出

※数値左:男性の推定年収、右:女性の推定年収

 

新たな購入者を獲得し、増え続けるタワマン。しかし、これから先はあまりに不透明です。日銀黒田総裁が続く限りは低金利が続くという見方が強いですが、任期はあと1年。そのあとは金利引き上げとなるという見方が強くなっています。

 

金利上昇により、住宅ローンの利用も抑えられるようになったら、再びタワマンは一般の会社員にとって高嶺の花となるでしょう。当初の購入者層である富裕層は、というと、税金対策の効果が薄れればタワマンにこだわる必要はありません。

 

さらに日本の人口減少は加速し、マンションの購入者層は急激に減っていきます。特に地方や郊外のタワマンは苦戦するだろうという声も。

 

大量供給を続けてきたタワマンですが、近い将来、見向きもされなくなり、大量の在庫が発生する……そんな未来が、もうすぐそこまできています。