20階以上の高さを誇る、いわゆるタワマン。ひと昔前はタワマンは富の象徴というイメージが強かったですが、都心に限らず、郊外、地方でも作られるようになってからは、一般の人でも身近な存在になっています。そんな人気のタワマンですが、先行きは暗いという声も。みていきましょう。
もうすぐ訪れる「タワマン」の終焉…大量売れ残り時代の到来か

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タワマンを活用した税金対策、封じ込めへ

先日、相続したマンションの評価額が実勢価格よりも低すぎるとして、再評価のうえ追徴課税とした国税庁の判断を争う裁判について、最高裁は妥当として、相続人側の上告を棄却しました。

 

相続法では、不動産の相続税について「時価」に基づく算定を求めていて、国税庁はその算定基準として路線価などを示しています。通常、路線価は取引価格の8割程度であるため、現金などの預貯金よりも相続税上優位ということで、不動産を活用した税金対策は一般的なものです。ただ過度な税金対策には警報を鳴らしていました。

 

今回争われたのは、2012年、94歳で亡くなった父親から、購入額計13億8,700万円という東京都と神奈川県マンション2棟を相続した事案。路線価を基に評価額約3億3,000万円と評価し、銀行からの借り入れを差し引き、相続税をゼロと申告していました。

 

一方国税庁は対象の物件を独自に鑑定し、時価を約4倍の12億7,000万円ほどとし、約3億円を追徴課税したのです。

 

この路線価などを用いた相続税評価額と実勢価格の差をもちいた税金対策。その最たるもののひとつが、いわゆるタワーマンションを活用した税金対策です。

 

自宅やマンションの相続税評価額は時価に比べかなり低くなります。さらにマンションの評価額は、土地と建物が別々に計算され、総戸数が多いほど各戸の土地の持分は小さくなるのです。さらに低層階でも高層階でも評価額は同じでも、市場価格は高層階ほど高額となるので、タワーマンションの相続税評価額は、時価の開きがとりわけ大きくなります。国税庁が2011年から2013年に売買された343の物件に対して試算したところ、評価額は平均で時価の3割程度だったといいます。

 

富裕層はタワマンを購入し、自分たちでは住まず、多くは賃貸に出すケースが多いようです。賃貸物件であれば、さらに相続税評価は圧縮されるためです。

 

さらにタワマンは固定資産税の観点からも注目されていました。マンションの土地所有面積はマンションの敷地を戸数で割ったものになるので、固定資産税のうえでもタワーマンションは優位だったのです。固定資産税は、土地や建物の評価額に対して1.4%かかることになっていますが、住宅用の狭い土地、200㎡以下に関しては、固定資産税は6分の1となる規定があったのです。

 

しかし平成29年度の税制改正によりタワーマンションの固定資産税の計算は上層部になればなるほど税額が増え低層階の固定資産税は下がることになりました。ただし、2017年4月1日前に売買契約締結のものは改正適用除外。2017年以前に完成しているタワーマンションであっても同様です。