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ペアローンを活用してマイホーム購入が増加
共働きが増えているなか、マイホームを実現するときの住宅ローンは、ペアローンを選択する人が増えています。
ペアローンは、主に夫婦二人が契約する住宅ローン。つまり契約する住宅ローンは2本になります。夫も妻も「よーい、ドン」で返済が始まります。
契約が夫婦別々、2本になるということは、住宅ローン控除(住宅借入金等特別控除)は夫婦それぞれに適用されることになります。また団体信用生命保険、いわゆる団信も、夫婦それぞれが加入することになります。
万が一のことがあったときの保険となる団信ですが、ペアローンの場合、亡くなったほうのローンの債務がなくなるだけで、もう一方は残るので、注意が必要です。
そんなペアローンですが、最大のメリットは、合算すると単体では借りることのできない金額のローンを借りられるということ。つまり、購入を考えている住宅が単体では高額で手が届かないものでも、ペアローンを利用することで予算内となる、というものです。
たとえば、国土交通省『令和2年度住宅市場動向調査』によると、新築分譲マンションの世帯平均年収は798万円、世帯主平均年齢は43.5歳、購入資金は4,639万円でそのうちローンは3,050万円、平均返済期間は31.5年です。一方、国税庁『令和2年分 民間給与実態統計調査』によると、正社員の平均年収は495万7,000円。賞与の平均がおよそ3ヵ月分だとすると、月々の手取りは25万円程度になります。給与が平均値だとすると、4,500万円程度の分譲マンションは、平均以上の負担を覚悟しないと実現しません。一方ペアローンであれば、平均的な返済負担で実現できそうです。
ペアローンを活用する際、ローンの割合を決めることになります。一般的なのは、夫婦それぞれの借入額の比率と、物件の持ち分(所有権)比率を合わせるというもの。たとえば、7,000万円の物件であれば、夫が3,500万円、妻が3,500万円のペアローンをそれぞれ組んで購入し、持ち分比率を、夫が50%、妻が50%にするということです。
持ち分比率=ローンの借入額の比率、としなくてもいいのですが、住宅ローンの負担率と、持ち分比率が異なると、どちらか一方への利益供与とみなされ、一方が比率に応じた贈与税を払う必要がでてくる可能性があるので、注意が必要です。
またペアローンの場合、事務取扱手数料や印紙税、保証料抵当権設定費用など、それぞれの契約ごとにかかります。結果的に単体でローンを組むよりも費用負担が増える可能性が高いので、単純な比較だけでは判断しないほうがいいでしょう。