非正規化が進む、公共サービスの最前線
一度公務員になれば安泰、そういう時代もありましたが、昨今は職員の削減に踏み切る自治体もあり、「公務員=安定」というイメージは変わりつつあります。
また地方公務員法の改正により令和2年度から「会計年度任用職員」が制度化されました。これは1会計年度(4月1日から翌年3月31日まで)を最長の任期として任用され、正規職員が行う各種業務の補助を行う非常勤の地方公務員のこと。いま非正規公務員のほとんどが、会計年度任用職員へと移行しています。
総務省『令和2年 地方公務員の臨時・非常勤職員に関する調査』によると、47都道府県で最も会計年度任用職員(一般事務職員)が多いのは「東京都」で3,093人、「兵庫県」「愛知県」「茨城県」千葉県」と続きます。一方、会計年度任用職員が最も少ないのは「福岡県」で106人。「香川県」「鳥取県」「岡山県」「福井県」と続きます。
このなかには、フルタイムとパートタイム双方含まれていますので、フルタイムで働く会計年度任用職員がいるのは、47のうち20の自治体。また、その数が最も多いのは「愛媛県」。会計年度任用職員の88.0%がフルタイムで働いています。
会計年度任用職員が担当するのは、窓口業務など、公共サービスの最前線。コロナ禍、過酷な環境下で右往左往していた公務員の人たち、実は非正規職員というケースは珍しくありません。非正規公務員などで構成する『公務非正規女性全国ネットワーク』が行った調査では、年収200万円未満が半数以上、8割弱が250万円に満たなかったといいます(回答数1,252人)。
あまりに悲惨すぎる労働環境に、待遇改善を図る自治体も出てきているようですが、まだまだといった状況。私たちが当たり前のように享受している公共サービスも受けられなくなる……そんな事態が起きようとしています。