(※写真はイメージです/PIXTA)

不動産投資としても、高い人気を誇るタワーマンション(以下、タワマン)。一方で、「高層建築」「埋め立て地」「川沿い」など、災害リスクが懸念されるキーワードを多くはらんでいます。災害時にはどんな事態が起こり得るのか、予測していきましょう。

不動産投資家にも人気!「武蔵小杉」「豊洲」エリア

「武蔵小杉」「豊洲」の共通点は、もともと両者ともに工業地域だったことが挙げられます。工場は大量の水が必要なため、「武蔵小杉」は多摩川、「豊洲」は東京湾、隅田川とそれぞれ水辺に工業地域が建設されたという、似通ったバックグランドを持っています。

 

まず、武蔵小杉で多摩川が氾濫した場合はどうなるでしょうか。

 

武蔵小杉周辺では0.5m~3.0m、一部の地域では~5mの浸水が想定されています。

 

一方、豊洲で隅田川が氾濫した場合はどうなるでしょうか。豊洲周辺には0.2~1mの浸水が想定される地域が点在します。さらに、湾岸の豊洲は高潮による被害も懸念されます。東京都のシミュレーションでは、東京湾で高潮が発生した際、豊洲付近では最大3~5mの浸水が発生しす。

 

また、両地域ともに、内水氾濫の可能性をはらんでいます。

 

内水氾濫とは、市街地に大量の雨が降り、処理能力を超えてしまった場合、排水溝から雨水が溢れだしたり、川の水位が著しく上昇したりし、行き場をなくした雨水が浸水してくる災害です。

 

武蔵小杉は2019年の台風19号でこの内水氾濫の被害に遭いました。都市部の低地であればどこで起きてもおかしくないと指摘されています。

両エリアともに、地震の際「特に揺れやすい」の評価

では、地震で起きた場合に両エリアはどの程度耐震できるでしょうか。

 

国立研究開発法人防災科学技術研究所が作成した「J-SHIS地震ハザードステーション」では、両地域の表層地盤増幅率(地表面近くに堆積した地層の地震時の揺れの大きさを数値化したもの)を確認することができます。

 

1.6以上は「地盤が弱く揺れやすい」、「2.0以上は特に揺れやすい」と評されますが、武蔵小杉周辺は2.38、豊洲周辺は2.26と、両エリアとも地震の際には「特に揺れやすい」とい評されています。

 

これについての原因は、それぞれ地盤が関係しています。

 

武蔵小杉は、細粒土の堆積物からなる後背湿地であるためです。一方、豊洲は、1923年に発生した関東大震災の瓦礫を埋めて誕生した埋立地であるためです。

 

以上の分析から、「武蔵小杉」「豊洲」のタワマンは次のことが分かります。

 

共に「断熱性」「気密性」は高いとは言えず、地盤は弱く、地震の際には大きく揺れ、高潮の際は浸水の可能性があります。

 

こうしたリスクを理解したうえで、住宅の選択や不動産投資を検討することをおすすめします。

 

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