不特定多数の者に対する宣伝効果を意図した費用
広告宣伝費というと、名刺代とかカレンダー、手帳、手ぬぐいといったものを思い浮かべますが、微妙なものになると交際費とかぶるものが多くなってきます。たとえば、商店街がよくやるお祭りなどに提供する旅行費用などは交際費として支出するのか、それとも広告宣伝費として計上すればいいのか、迷うところです。
税務上、「交際費」とは、得意先や仕入先その他事業に関係のあるものに対する接待、供応、慰安、贈答などの行為のために支出する費用のことです。
それに対して「広告宣伝費」は、カレンダー、手帳、手ぬぐいなどを贈与するために通常要する費用や次のような「不特定多数の者に対する宣伝的効果を意図した費用」と定められています。
①製造業者や卸売業者が、抽選により、一般消費者に対し金品を交付するための費用又は一般消費者を旅行、観劇などに招待するための費用
②製造業者や卸売業者が、金品引換券付販売に伴って一般消費者に金品を交付するための費用
③製造業者や販売業者が、一定の商品を購入する一般消費者を旅行、観劇などに招待することをあらかじめ広告宣伝し、その商品を購入した一般消費者を招待するための費用
④小売業者が商品を購入した一般消費者に対し景品を交付するための費用
⑤一般の工場見学者などに製品の試飲、試食をさせるための費用
⑥得意先などに対して見本品や試用品を提供するために通常要する費用
⑦製造業者や卸売業者が、一般消費者に対して自己の製品や取扱商品に関するモニターやアンケートを依頼した場合に、その謝礼として金品を交付するための費用
業種によっては「交際費」になることも
ちなみに次のようなケースでは、「一般消費者」を対象としていることにはあたらず、不特定多数のものに対する宣伝的効果としては認められないとしています。広告宣伝費ではなく、交際費等での処理になる可能性があります。
①医療品の製造業者や販売業者が医師や病院を対象とする場合
②化粧品の製造業者や販売業者が美容業者や理容業者を対象とする場合
③建築材料の製造業者や販売業者が、大工、左官などの建築業者を対象とする場合
④飼料、肥料などの農業用資材の製造業者や販売業者が農家を対象とする場合
⑤機械又は工具の製造業者や販売業者が鉄工業者を対象とする場合
業種などによっても異なりますが、たとえば製薬会社が顧客である医師や病院を対象とした宣伝活動などは、交際費になってしまう可能性があるということです。
次回は、「難しい」と言われることも多い減価償却のやり方について詳しくご紹介します。