本記事では、「ヒトパピローマウイルス(HPV)感染症」と、2022年4月から接種対象者に積極的勧奨が再開されたHPVワクチンについて、高座渋谷つばさクリニック院長の武井智昭氏が詳しく解説していきます。
4月からワクチンの積極的勧奨再開…「ヒトパピローマウイルス(HPV)感染症」とは何か?【医師が解説】

「HPVワクチン」積極的勧奨の対象者は…

定期接種の対象者は2022年度に小学校6年生から高校1年生に相当する女性です。予診票や接種券はお住まいの市町村から郵送されてきます。接種に対応する医療機関も同封の案内が郵送されてきます。

 

子宮頸がんワクチンには、接種日用が無料である定期接種(公費対象)となっているものにはHPV16、18を含む「サーバリックス(2価)」と「ガーダシル(4価)」の2種類があります。いずれも、6ヵ月間に3回接種することにより、50〜70%の子宮頸がん予防になるとされています。

 

これに加えて、2021年2月に発売された「シルガード9(9価)」のワクチンもありますが、こちらは自費となり、3回接種により費用は約10万円となります。9歳以上であれば接種は可能であり、子宮頸がんの約90%を防ぐことができるとされております。

 

男性はこれまで接種適応外でありましたが、9歳以上の男性は5万円程度の自費負担でありますが、前述の4価ワクチン「ガーダシル」を接種できるようになりました。

合計9学年に対しキャッチアップ接種を実施する方針に 

2021年12月28日より、HPVワクチンの積極的勧奨の差し控えにより接種機会が逃されていた方に、公平な接種機会を確保する観点から、平成9年度から平成17年度生まれ(誕生日が1997年4月2日から2006年4月1日)の女性、合計9学年に対してキャッチアップ接種を実施する方針となりました。

 

期間は2022年4月から2025年3月までの3年間です。この結果として令和4年では17歳から25歳までの女性にも接種を行う方針となりました。キャッチアップ接種の対象者にも市町村から問診表・接種券が発送されることになりました。

 

HPVワクチンは、WHOが15歳までに90%以上の女子が接種することを目標としており、国際的に効果と安全性が確立されたワクチンで、日本では接種後に生じた疼痛などの症状に苦しんでいる方への支援も実施しています。

 

 

※子宮頸がん予防(HPV)ワクチンの接種については、厚生労働省ホームページをご覧いただく、医療機関に相談するなど、ワクチンの安全性と有効性をご理解いただいたうえでご判断ください。