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「ワキガ」の捉え方は文化によって異なる
人間は動物なので、そもそも体臭というものが存在します。その体臭が、社会生活をしていくうえで障害となっている状態のひとつにワキガの状態があります。医学用語で言うと腋臭症(えきしゅうしょう)といいます。
保険診療で治療できるので、日本では疾患(体質)として認められているということになります。
なにか、奥歯にものが挟まったような言い方になってしまいますが、実はワキガは体質なので民族によってはワキガ体質が多数派であるという地域もあるわけで、その地域ではニオイのある人が大多数なのでワキガが病気と認識されていないばかりか、その香りがセクシーであると感じる文化もあるのです。
西洋では、体臭と混ざりあってより良い香りになる香水の文化が発展したことはご存じの人も多いと思います。日本では、ワキガ体質の人が少数派でありワキガ臭に関してもどちらかというと不快なニオイに感じられてしまうことが多いため、腋臭症と名付けられて治療の対象になっているという状況です。
「ワキガ」はどんな人が発症しやすい?
日本形成外科学会の腋臭症診療ガイドラインによると、ワキガは家族性があり、その原因を示唆するABCC11遺伝子との関連性が指摘されています。ABCC11遺伝子は、耳垢が湿っているか乾いているかを決定する遺伝子です。
耳垢が湿っている人の80%がワキガであるといわれていて、日本人の16%が耳垢の湿ったタイプ(湿型耳垢)なので、日本人の約10%がワキガであるといわれています。
また、第2次性徴が始まるころからワキガに悩む人が多く、20代に症例数のピークがあります。多感な頃に発症することが多いため、診察に来られた患者さんを診断するときに、自己臭恐怖との鑑別を要することがあります。
自己臭恐怖とは、本当は臭わないのに臭っているのではないかと思い込んでしまうことで、このような人にワキガの治療をしても効果がありません。
診察に来られた際は、まずご両親にワキガの人がいるか、また耳垢は湿っているかどうかを訪ねます。
次に、多くの医療機関で行われている診断方法としてガーゼテストというものがあります。脇の下にガーゼを挟んで5分経過したのち医療者がニオイを嗅いで判定するものです。簡単で確実な方法ではありますが、客観性に乏しいという欠点があり複数人での確認が望ましいとされています。
その他、薬剤で汗を出させてニオイを誘発させる方法や試験的に皮膚を切開して調べる方法がありますが、簡便で非侵襲的な方法なのでガーゼテストを採用している医療機関が多いです。
1年中悩みが尽きない「ワキガ」…原因は?
さて、腋臭の原因に話が戻りますが、腋臭の原因はアポクリン腺にあります。人間の汗には2種類あります。ひとつはエクリン腺から出る汗、もうひとつはアポクリン腺から出る汗です。
エクリン線は、さらさらした水のような無色透明な汗、アポクリン腺は、エクリン腺よりもタンパク質が多い汗を出します。アポクリン線から出る汗にはリポフスチンという黄色の物質が含まれているので、白い衣服に染み込むと黄ばみやすいです。
アポクリン汗腺からの汗は、分泌された瞬間は無臭です。しかし、タンパク質を多く含んだアポクリン汗腺からの汗は皮膚の常在菌の格好の餌になります。そして、皮膚常在菌がアポクリン汗腺からの汗を分解した結果、ワキガ特有のニオイが生まれます。
ワキガは、さまざまなニオイに分類されます。ネギのニオイ、鉛筆のようなニオイ、古いタンスのニオイ、カレーのようなニオイ、便のようなニオイ、腐敗臭など。同じ腋臭症でも個人差があり、それほど不快ではないニオイから不快なものまで様々です。ネギ系のニオイの場合は食べ物の美味しいニオイに感じる人もいるようです。
しかし、多くの腋臭症の人は根深い悩みを抱えています。また腋臭症の悩みは、季節を問わず生じます。
春先汗ばむ季節、夏はもちろんですが、冬も暖房が強くて汗をかいたり厚着をして熱がこもってじっとりと汗が出たりするために、コートを脱いだ時にニオイがすることもあり、冬でも悩みます。したがって、腋臭症の人は1年中、脇汗の対策をしないといけないということになります。
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