日本人は中流意識が強い国民性だといわれ、また政府も「中流層の復活」を掲げ、低成長から脱しようと懸命です。その影で薄給料で苦労している人たちがいました。みていきましょう。
平均給与433万円だが…「中間層復活」で露呈する、手取り13万円「非正社員」の悲哀

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日本人「中の中」意識が強いが…

お宅の生活の程度は、世間一般からみて、どうですか。

 

内閣府がほぼ毎年行っている『国民生活に関する世論調査』で尋ねている設問のひとつ。「上」「中の上」「中の中」「中の下」「下」からひとつ選ぶものですが、どこにマルをつけるでしょうか。

 

2021年調査では、「上」が1.2%、「中の上」が13.3%、「中の中」が48.7%、「中の下」が27.1%、「下」が8.2%。長引くコロナ禍の影響もあったのか、「中の中」が前回(2019年)から10ポイント近く減り、その分、「中の下」が5ポイント、「下」が4ポイント、上昇しました。

 

とはいえ、日本人はずっと中流のなかの中流という意識が高く、「中の中」の割合は5割をキープ。最新調査の結果は極めて異例です。ただ「中」の総計は、8割後半から9割を常に保っているので、日本人の「中流意識」は顕在だといえるでしょう。

 

【日本人のランク意識】

2001年:0.8 %/9.4 %/55.7 %/25.6 %/5.9 %

2005年:0.8 %/8.8 %/54.2 %/25.1 %/7.3 %

2010年:0.8 %/11.3 %/53.5 %/26.2 %/6.3 %

2015年:1.3 %/12.9 %/56.3 %/22.9 %/5.2 %

2021年:1.2 %/13.3 %/48.7 %/27.1 %/8.2 %

 

出所:内閣府『国民生活に関する世論調査』より抜粋

※数値左より「上」「中の上」「中の中」「中の下」「下」

 

中流という言葉、世界各地で広まっています。後進国を中心に国の発展を目指す際のワードとして、「中間層の拡大」「中間層の底上げ」を言及するからでしょう。

 

岸田首相も昨年の所信表明の際に「分厚い中間層を作って、消費や企業の投資が活性化することを目指す」としました。その前のアベノミクスでは富裕層や大企業は恩恵を受けましたが、それが中小企業や低所得者層には波及しなかったことへの問題意識があるから、とされています。