春闘の回答が出てくる時期ですが、そんななか、「トヨタが満額回答」というニュースが大きく伝えられました。それに追随するように、日産自動車やホンダも同様に満額回答と伝えられています。一気に高まる賃上げムードですが、冷ややかにみる人が多いようです。みていきましょう。
トヨタ・日産・ホンダ満額回答だが…賃上げニュースに「日本のサラリーマン」深いため息

自動車業界を例にみる…大企業と中小企業、驚愕の給与格差

大企業と中小企業の給与格差について、もう少しみていきましょう。厚生労働省『令和2年賃金構造基本統計調査』によると、自動車業界の大卒男性会社員の平均年収(推定)は666万8,800円。20代前半で340万円ほどの給与は、年齢と共に上昇し、50代前半で950万円に達します。

 

全業界を通しても高給に分類される自動車業界ですが、企業規模別に年収推移をみていくと、「従業員10~99人企業」の大卒男性会社員の平均年収は、516万7,700円。20代前半で379万円だった給与は、50代後半でピークの701万円に達します。

 

一方、「従業員1,000人以上企業」の大卒男性会社員の平均年収は747万3,600円。20代前半で355万円からスタートした年収は50代前半でピークの1057万円に達し、50代後半でも1,000万円台をキープします。

 

新人時代は大企業よりも中小企業のほうが給与水準は高い傾向にあるものの、昇給の度に差は開いていくのでしょう。20代後半では大企業が中小企業の給与水準を上回り、50代前半で500万円、50代後半で300万円近くの給与差になります。

 

新卒から60歳定年になるまで働いた場合の生涯年収は、大企業で2億7,742万円に対し、中小企業では1億8,720万円と、その差、9,000万円になります。

 

今回の賃上げ、効果が末端まで等しく行き届くかといえば、構造上難しいだろうというのが大方の見方。つまりこの格差はさらに広がる可能性が高いということ。賃上げのニュースは喜ばしいですが、「やはり大企業かあ……」とため息をつく会社員も多くいそうです。