いまや預貯金の通帳はすべてデジタル。そこでなくなったのが「記帳」という行為ではないでしょうか。だからこそ、たまに「預貯金の入出金の明細」をみると、ちょっとした違和感を覚えることも。みていきましょう。
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昔は「お金を預けるだけ」で暮らしていけたんだよ…

――このお金、なんですか? 1円とか、2円とか……気持ちが悪い

 

預貯金の入出金の明細をみたときの若い人からの言葉。最近は紙で預金通帳を持つことが珍しくなり、「記帳する」ことがなくなったことから、そんなコメントが多く寄せられています。

 

コメントにある“このお金”の正体は、預入額に応じた利子なのですが、あまりに低金利の日本、預貯金をしてお金を増やす、ということに興味がなくなってしまったため、受取利子に思わず「気持ち悪い」とさえ思ってしまう若い人がいるわけです。

 

――昔は、銀行や郵便局にお金を預けているだけで暮らしていけたんだよ

 

そんな昔話を聞かされた人も多いでしょうが、確かに、以前の日本では預入利子だけで生活する人もいるほどでした。

 

郵便貯金(現ゆうちょ銀行の貯金)の通常貯金(普通貯金)の金利は、1990年は3%台。それから5年後の1995年には1%を下回り、1999年には0.1%さえ下回りました。2022年02月28日現在、0.001%。100万円預けたら、1年後、100万0,010円になります。

 

この低金利で、預貯金を続けたら、どうなるのでしょうか。

 

「元金100万円、金利0.001%」の場合10年で100万0,100円、20年で100万0,200円、30年で100万0,300円、40年で100万0,400円……40年後、やっと利子で牛丼一杯が食べられるくらいになります。

 

これがバブル期のように3%程度の金利があればどうでしょう。

 

「元金100万円、金利3%」の場合10年で134万3,916円、20年で180万6,111円、30年で242万7,262円、40年で326万2,038円……40年後には元金の3倍以上にもなります。

 

金利が高かった人がやたらと昔を懐かしむのも当然の話かもしれませんし、低金利が常識の若者世代からしたら、信じられない話でしょう。

 

さらに今年1月17日からは、ゆうちょでATMの取扱時間帯変更および料金新設・改定が行われ、時間帯によっては110円の手数料がかかるようになりました。この低金利時代、金融機関にとって手数料は重要な収益源。仕方のないことでしょう。いずれ、預貯金に対して「管理費」などとられるようになる、という声も聞きますし、いよいよ「お金をただ預ける」ことがリスクになる時代が来ようとしています。