まさか…東大医学部でも「医師国家試験に落ちる人」の謎【現役医師の見解】 (※写真はイメージです/PIXTA)

「医師」として働くには、膨大な知識を蓄え、数多くの研修や試験を受ける必要があります。その最終関門となる医師国家試験について、高座渋谷クリニックの武井先生は「ある部分が欠如している人は、近年国家試験に繰り返し不合格になっている」といいます。医師国家試験に実際に出題された問題をもとに「いま求められている医師像」をみていきましょう。

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医師国家試験で実際に出題された「心情」を問う問題

新型コロナウイルスのオミクロン株が大流行しており、発熱や咳、呼吸困難を認めた方は発熱外来を受診されたものと思います。一方で、コロナ以外でも持病の管理、症状の悪化などで医療機関を受診された方もいらっしゃるでしょう。

 

諸外国と比べ、私たちは生活のなかで医療と接点を持つことが多くあります。受診するクリニック(かかりつけ医)が決められているイギリスなどの諸外国と異なり、日本では多くの場合、(入院施設がないクリニックでは)自分と相性がよい医師やスタッフがいるところにフリーアクセスで受診できるのが特徴です。最近では訪問診療・往診を行う機関も増え、より家庭との接点が増加しています。

 

こうした現状のなか、2月上旬に第116回医師国家試験が予定通り実施されました。近年の医師国家試験は2日間かけて開催され、計400問が各分野からまんべんなく出題されます。400問のうち100問は必修問題であり、80%以上の正解が求められます。

 

たしかに一般の方では理解が難しい専門用語・知識が問われる問題も多い反面、医師の倫理や患者・その家族の心理的背景をくみ取って解答する「国語」「心理学」のような出題もあります。ここで、本年出題された2問を紹介します。

 

75歳の男性。1人暮らし。3か月前に肺癌と診断され、肺内転移、骨転移を認めた。自宅で穏やかに過ごしたいという本人の希望で訪問診療が実施され、自宅で最期を迎えることを希望している。

 

3週間前からは食事摂取量が低下しトイレにもいくことができず、訪問看護サービスとホームヘルパーの定期訪問を受けている。1週間前から腰痛が出現し、訪問診療担当医が薬物治療を実施しているが症状が悪化している。本日、担当医が訪問診療で自宅を訪問した際に、患者が「もう今日で死なせてください。」と強く訴えた。

 

本日の訴えに対する医師の対応で適切なものはどれか。

 

A:「そんなことを言わずに、頑張りましょう」

 

B:「今すぐ安らかに旅立つお手伝いをします」

 

C:「すぐにホスピスの入院を手配します」

 

D:「末期肺癌の根治的治療法がありますので、ご安心ください」

 

E:「なぜそのようなお気持ちになったのか、お話しくださいますか」

 

この問題であれば、医師でなくても相手の心情を読み取れば「E」と解答することは容易であります。

 

続いて、同じような問題をもう1つ。

 

55歳の男性。上腹部痛を主訴に来院した。半年前から腫瘤に気づき大きくなってきたことを自覚していた。顔色は不良であり、左鎖骨上のリンパ節の腫大を認める。上腹部に10センチの腫瘤を認め、超音波検査とCT検査で悪性腫瘍が示唆された。

 

この時、患者は「おなかの中に何かがあるのはわかっていたが、悪性腫瘍と診断されるのが怖くて今まで受診しなかった。飲食店を自営業で経営をしているが、私がいなくなったら休業となり収入がなくなり困る。もっと早く受診すれば、私は死ななくてすんだ」と言った。

 

この患者が感じている苦痛のうち、社会的な苦痛はどれか?

 

A:死への恐怖

 

B:上腹部の痛み

 

C:収入がなくなることへの不安

 

D:癌と診断される事への恐怖

 

E:もっと早く受診すればよかったという後悔

 

腫瘍がなにかという医学的知識ではなく、「患者の苦痛」に関して問う問題です。社会的な苦痛といえば自分の立場や収入減少などを示すので、解答は「C」となります。

 

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高座渋谷つばさクリニック 院長

小児科医・内科医・アレルギー科医。2002年、慶応義塾大学医学部卒業。多くの病院・クリニックで小児科医・内科としての経験を積み、現在は高座渋谷つばさクリニック院長を務める。感染症・アレルギー疾患、呼吸器疾患、予防医学などを得意とし、0歳から100歳まで「1世紀を診療する医師」として地域医療に貢献している。

著者紹介

連載現役医師が解説!様々な「カラダの不調」への対処法

※本記事は、最先端の「自分磨き」を提供するウェルネスメディア『KARADAs』掲載の記事を転載したものです。

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