(※写真はイメージです/PIXTA)

厚生労働省は、発達障害を「生まれつきみられる脳の働き方の違いにより、幼児のうちから行動面や情緒面に特徴がある状態」と定義していますが、精神科医の大岡美奈子氏は、この症状は「誰にでも当てはまる可能性がある」といいます。では、わが子が「どのような言動」をとったとき、病院受診を検討すべきでしょうか。具体的な3つの例をみていきましょう。

3.不安感、抑うつ気分がある

発達障害を抱えるお子さんは、もともと自分の気持ちや行動をうまく説明するのが苦手なうえ、どちらかというと他者の言動を被害的に捉えがちな傾向もあるので、学校や職場でコミュニケーション・エラーが生じてしまうこともあります。

 

こうしたことが続くと、次第に自分の行動に自信がもてなくなったり、相手の反応を恐れて他者と関わることを避けたり、普段からなんとなく気分が落ち込んだりすることがあります。発達障害を背景としたコミュニケーション・エラーに起因しての不安感・抑うつ感ですので、「二次障害」と呼ぶこともあります。

 

大人であれば抗うつ薬や抗不安薬による治療が一般的ですが、少なくとも学童期や10代前半のお子さんに対しては、薬物療法は第1選択ではありません。

 

特別な事情(宿泊体験、久しぶりの登校など)のときの「お守り」としてとん服(毎日ではなく症状があるときだけ飲むお薬)を処方したりすることはありますが、できる限り環境調整によって、よりストレスのない状況に持っていけないかを、親御さんと一緒に知恵を絞って考えます。

 

場合によっては、「意見書」として学校の先生にお手紙を差し上げることもあります。本人に気持ちの余裕ができてきたら、困っている状況、うまくいかなかった状況を言葉にして状況を整理し、対処法を考えるお手伝いをすることもあります。

わが子からの「サイン」があれば、一度受診検討を

以上、病院への受診を考えた方がいい場合を3点記しました。

 

上記の他にも、眠れなかったり、食欲が落ちていたり、爪や髪をむしってしまったり、頭痛や腹痛など身体症状を伴ったりなど(先に内科や小児科への受診をおすすめすることがあります)、ストレス対処がうまくいっていないサインがあれば、受診を検討してもよいかと思います。

 

「病院に行くとすぐに薬をだされてしまう」とお考えの方もいらっしゃるかもしれませんが、必ずしもそうではありません。

 

病院では、再診として確保できる時間が限られているため、いわゆる「カウンセリング」を提供することは難しいのですが、お薬の提案も、お薬以外の解決法も、しっかりと説明して納得いただいたうえで開始して参ります。

 

 

大岡 美奈子

東邦大学医療センター大橋病院/東京都大田区六郷こどもクリニック

精神科医

 

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※本記事は、オンライン診療対応クリニック/病院の検索サイト『イシャチョク』掲載の記事を転載したものです。