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疲れが取れない、突然汗をかく…これって更年期障害?
更年期障害とは、閉経前後(個人差ありますが多くは50歳前後くらい)に発症する様々な体調不良の状態をいいます。
主な症状は、のぼせやほてり(いわゆるホットフラッシュ)・めまい、頭痛、倦怠感(疲れやすい)、不眠などといった身体的な症状のほか、落ち込みやすくなる、やる気がなくなる、不安、うつなどといった精神的な症状もあります。
原因は、女性ホルモンのエストロゲンの分泌が低下することによってホルモンバランスが崩れ、それにより自律神経のバランスも乱れることにあります。
似たような症状に「副腎疲労症候群」があるので鑑別が必要です(実際はオーバーラップしていることも多いです)。
■更年期障害の症状と似ている「副腎疲労症候群」とは?
副腎疲労症候群とは、ストレスなどが原因で、「副腎」という臓器が疲れきってしまっていて、コルチゾールやDHEAなどといった大切なホルモンを出せなくなってしまう状態です。
症状はホットフラッシュがないくらいで、そのほかは上に挙げた更年期障害の症状とほぼ同じです。
ちなみにコルチゾールやDHEAなどの値は通常の婦人科では検査しないため、「副腎疲労」に心当たりのある方や心配な方は「予防医学」や「栄養療法」を行っているクリニックを受診してみてください。
■更年期障害になりやすい人とは?
更年期障害の有無や症状の重さなども人それぞれと思いますが、以下のタイプは症状が出やすい、あるいは重くなりやすい傾向にあります。
●栄養状態が良くない(=腸内環境が悪い)人
●ストレスが多い人
●真面目で頑張り屋さん、完璧主義の性格の方
更年期障害を乗り越えるカギは「栄養」
更年期障害は、食事や生活習慣を改善することによって、ある程度は軽快します。それは腸内環境を整えることにあります。
「腸脳相関」という言葉もあるように、腸内環境は自律神経と深くつながっており、腸内環境を整えることによって様々な症状が軽快します。
■腸内環境を改善するには?「食事」のポイント
1. 砂糖(特に精製された白糖)をやめる
2. グルテンをやめる
3. 乳製品をやめる
4. 加工食品をやめる
1~4の理由は以下の通りです。
1. 砂糖は腸内細菌の悪玉菌の大好物です。甘いものを摂ることで悪玉菌が増えてしまいます。
2. グルテンはそもそも腸で分解しにくいタンパク質であるため、腸のバリア機能を傷つけてしまいます。小麦製品は極力控えるようにしましょう。
3. 乳製品の乳タンパクあるカゼインもそもそも腸で分解しにくいタンパク質で、腸壁を傷つけてしまいます。また、日本人の約80%が乳糖不耐症あり、そもそも乳糖は合いません。乳製品は極力控えたほうが無難です。
4. 加工食品は保存料をはじめとする添加物だらけです。これらの添加物は体内で円滑に代謝されず、腸内環境が悪化します。極力お惣菜やコンビニなどの「買い食い」や「~の素」などは避けましょう。
これまでの経験でも、更年期障害と診断した方々のなかには、砂糖、グルテン、乳製品、加工食品をよく食べている、また、家庭や職場などでのストレスをかかえているという方が多く、上記のような食生活のアドバイスと、腸内環境を改善させる乳酸菌などのサプリを処方しています。そうすると、数ヵ月ほどで症状が軽減する方がたくさんいます。
また、前述したように「更年期障害」と診断された方のなかには「副腎疲労症候群」の方が混ざっていることもあります。特にこの場合は、腸内カンジダ菌(真菌の悪玉菌)の増殖がみられる場合や、リーキーガット症候群(腸漏れ)という状態に陥ってしまっていることも少なくありません。
■副腎疲労症候群を乗り越えるには?
更年期障害ではなく、症状が似ている「副腎疲労症候群」と診断された場合、基本的には更年期障害の改善方法と同様、食事の際、砂糖、乳製品、グルテン、加工食品、それからアルコールをやめること、からはじめましょう。
また乳酸菌、食物繊維、消化酵素、グルタミン、亜鉛、マグネシウム、ビタミンDなどのサプリメントも、腸内環境の改善に役立ちます。
実際、カンジダ菌がいた場合はさらにカンジダ菌に効果のあるハーブ(オレガノ、セージ、レモンバーム、タイム、オリーブの葉、ココナッツオイルなど)や抗真菌薬を使うこともあります。
「もしかして更年期障害?」と思ったらまずは受診を
ひと言で「更年期障害」といっても、発症年齢や症状は千差万別です。まずは婦人科を受診することをおすすめしますが、「ホットフラッシュがなく、ストレスはある」といった方は予防医学、栄養療法を行っているクリニックを受診されることをおすすめします。
黒田 愛美
Zetith Beauty Clinic 副院長
予防医療(栄養療法)
美容医療専門医
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