資産形成の第一歩は家計を知ることから始まります。今回、焦点をあてたのは「餃子の支出額」。餃子の街としてプライドとプライドをぶつけ合う、「宇都宮」と「浜松」。そこに割って入った意外な街とは?
全国「餃子」ランキング…「宇都宮」vs.「浜松」日本一争いに割って入った街 (※写真はイメージです/PIXTA)

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熾烈な餃子戦争…そのきっかけは?

――餃子戦争

 

それは総務省『家計調査』による、1年1世帯当たりの餃子購入額、日本一を決める争い。餃子といえば何といっても栃木県「宇都宮」が有名ですが、近年、熾烈なトップ争いを繰り広げているのが静岡県「浜松」です。

 

両市とも餃子の街をうたい、プロモーションに励んできました。プライドとプライドの争いが繰り広げられているわけです。

 

そもそも「餃子」の発祥は、中国。説明する必要もありません。ただ多くの人が餃子と聞いて思い浮かべる焼き餃子は中国では食べられず、蒸し餃子か水餃子が中心だといいます。焼き餃子は日本発祥といわれ、日本初は諸説ありますが、初めて店で出したと言われている、そのひとつが横浜市の野毛にある「萬里」。ちょっと小ぶりの餃子がいまも人気です。

 

宇都宮が餃子で有名になったのは、栃木の農業に深く関係しています。栃木の名産といえば、イチゴやかんぴょうなどが有名ですが、実は餃子に欠かせないニラも、日本1位、2位を争うほどの産地なのです。

 

そのような背景もあり、もともと餃子をよく食べる町ではあったようです。そして90年代、市の担当者が宇都宮が餃子の購入額が日本一だということを知り、餃子で町おこしをすることを発案。そこから町をあげて餃子を全面に押し出したシティプロモーションを展開するようになったのです。その盛り上がりは、駅前に「餃子像」がつくられるほど。

 

浜松の餃子の起源は1940年代。中国から帰還した兵隊が、現地の餃子を再現してみようと試みたことがはじまりだといわれています。そして屋台を中心に餃子を出す店が増えていったといいます。

 

そして餃子の街として発展していく根底にあるのが、浜松のお持ち帰り文化。外食を好まない地域性から、店に出向き注文して家で食べる、というのに餃子はうってつけだった、というわけです。

 

2000年代、餃子の街としてプロモーションを展開する宇都宮市。東京からアクセスしやすい距離感もあり、雑誌などで度々人気店が紹介されると、「宇都宮=餃子の街」というイメージが定着します。

 

しかし2007年に浜松市が政令指定都市に移行したことで状況が一変。総務省『家計調査』の対象になったことで、宇都宮市と比較できるようになったのです。すると「実は浜松市が日本一!」という結果の年もあり、熾烈なトップ争いを繰り広げられるように。そしてメディアは「餃子戦争」と呼ぶようになったわけです。