金融広報中央委員会から『家計の金融行動に関する世論調査』の2021年の調査結果が公表されました。これは年に1度実施しているもので、家計の資産・負債や生活設計などの状況などを明らかにしています。最新の家計の資産事情をみていくと、深刻な状況がみえてきました。
「資産ゼロ」が2割…貯蓄は増やせず年金も足りない、日本人の八方塞がり (※写真はイメージです/PIXTA)

「資産あり世帯」の中央値「800万円」…これでは老後、安心できません

金融資産、つまり将来を見据えてのお金がゼロという世帯が2割。また将来を見据えた資産があった場合、その中央値は800万円。これが、ちょうど「日本人の真ん中」です。

 

また現役世代は、老後に対して84.5%が「不安」と回答。その理由は、やはり将来への備えが不十分なことがあげられます。

 

【老後が心配な理由(世帯主60歳未満世帯)】

「十分な金融資産がないから」66.7%

「年金や保険が十分でないから」54.8%

「ゆとりがなく、老後準備ができていないから」24.4%

「物価上昇が心配だから」23.3%

「退職一時金が十分でないから」22.4%

「再就職などで収入が得られる見込みがないから」10.1%

 

出所:金融広報中央委員会『家計の金融行動に関する世論調査』(2021年)より作成

 

国税庁『民間給与実態統計調査』によると、会社員の平均年収は433万円。そこから推測される月々の手取りは22万円程度です。これでは日々の生活で精一杯で、将来を見据えた貯蓄など進められないということでしょう。

 

また老後を支える年金の受給額をみてみると、厚生年金受給者の23.3%は月額10万円未満という水準(厚生労働省『令和2年度厚生年金保険・国民年金事業の概況』)。これでは将来もまた安泰とはいきません。

 

国は「年金だけでは老後資金は足りない、足りない分は自助努力で」と資産形成を呼びかけています。しかし現役時代は薄給で資産は増えず、引退後は年金では暮らしていけない……どうもこうにも八方塞がり、というのが日本の現状です。