(※写真はイメージです/PIXTA)

「健康診断で不整脈を指摘されたけれど、放置している」という人も多いのではないでしょうか。しかし、あの元巨人軍監督の長嶋茂雄氏も「不整脈に由来する脳梗塞」に倒れるなど、脳梗塞や心不全、場合によっては突然死にもつながる「怖い不整脈」が存在すると、東京ハートリズムクリニックの桑原大志院長はいいます。「怖い不整脈」と、経過観察でOKな「怖くない不整脈」の違いについて、専門医の桑原院長がわかりやすく解説します。

経過観察で大丈夫…心配無用の「怖くない不整脈」

このように、命を危険にさらす「怖い不整脈」がある一方で、経過観察でも大丈夫な「怖くない不整脈」もあります。

 

もっとも一般的な「心室性期外収縮」と「心房性期外収縮」

期外収縮の「期」は「予期」の期で、心臓が予期されたタイミングから「外」れて早めに打ってしまうので期外収縮と呼んでいます。

 

通常心臓の収縮は、洞結節という「発電所」で発生した電気信号に心筋が反応することで起こります。しかし期外収縮になると、洞結節ではない部位から電気が発生して、信号を送ることがあります。そのため、通常の脈よりも早い段階で心臓の収縮が起こってしまうのです。

 

期外収縮には2種類あり、「心室性期外収縮」と「心房性期外収縮」です。これらは、不整脈が心室で起こっているのか、または心房で起こっているのかによって名称が異なります。

 

期外収縮は健康な人でも生じる不整脈であり、年齢とともに増加します。まったく症状がなく、健康診断の心電図検査で初めて指摘される人もいますし、「心臓がドキッとする」「突然、胸が苦しくなる」などの症状を自覚して気づく人もいます。

 

また、期外収縮が起きる瞬間に、不整脈とは全く無縁そうな「咳」が出る人もいます。これは、狭い胸郭の中で心臓の動きが一瞬大きくなり、物理的に気管支を圧迫するために起こります。

 

多くの場合は加齢のほか、カフェインの過剰摂取、大量飲酒、睡眠不足、疲労、ストレスなどが原因となります。

自分だけで「勝手に判断」するのは危険

「怖くない不整脈」も放置すれば「怖い不整脈」に移行する可能性も

「怖い不整脈」と「怖くない不整脈」について話してきましたが、正しく見極めるのは、医師でなければ困難です。

 

また、心室性期外収縮や心房性期外収縮のように「怖くない不整脈」であっても、その後の経過観察を怠ると、いつの間にか「怖い不整脈」へ移行してしまっている場合もあります。

 

そのため、一度でも健康診断の心電図で異常がみつかった場合は、早期に医師の診断を受け、指示を仰ぐことをお勧めします。

 

不整脈は決して珍しい病気ではありません。しかし、安直に考えると重篤なリスクを引き起こすこともあります。とくに、「心筋梗塞や心筋症の既往がある」「身内に心臓病で突然死した人がいる」という場合は要注意です。

 

ぜひ、健康診断のアラートを「病気にいち早く気付くチャンス」と理解し、適切な行動を取るようにしましょう。

 

 

桑原 大志

東京ハートリズムクリニック

院長

 

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※本記事は、最先端の「自分磨き」を提供するウェルネスメディア『KARADAs』掲載の記事を転載したものです。