若いドライバーの不足が深刻なトラック運送業界。政府も新たな担い手の活用を模索しているが、なかなか成果を上げられていない現状だ。そこで人手の増員ではなく、「最新のテクノロジー」を使った解決が試みられている。現状と今後について、物流ジャーナリスト・刈屋大輔氏が解説していく。 ※本連載は、書籍『ルポ トラックドライバー』朝日新聞出版)より一部を抜粋・再編集したものです。
トラックも「自動運転で無人に」?…「賃金は低く、激務」ドライバー不足の打開策 (※写真はイメージです/PIXTA)

「政府」「道路インフラ」「自動車メーカー」の動き

政府は、自動運転トラックによる隊列走行について、後続車有人システムを2021年までに、後続車無人システム(東京〜大阪間)を2022年以降に商業化するという目標を掲げている。

 

それに向けて、今後は新東名高速道路や新名神高速道路の6車線化、隊列の形成や分離を行うスペースを整備するためのサービスエリアやパーキングエリアの拡幅など、道路インフラの整備にも着手していく方針だ。

 

一方、自動車メーカーは隊列走行に対応できるトラックの開発を急いでいる。

 

日野自動車、いすゞ自動車、三菱ふそうトラック・バス、UDトラックスの国内トラックメーカー4社は2020年7月、4社の協調技術を搭載した隊列走行用大型トラックの商品化に向けた取り組みをさらに加速していく、と発表した。

 

隊列走行では、異なるトラック運送会社の異なるブランド(メーカー)の車両が列を組むことも想定しておく必要がある。

 

バラバラの仕様でトラックを開発すると、隊列での走行に支障を来す恐れがあるため、メーカー4社はこれまで、協調技術の開発や車両情報の標準化などを進めてきた。

 

今後は、定速走行・車間距離制御装置(ACC)に車線維持支援装置(LKA)を組み合わせた技術をベースに、隊列走行に対応できる大型トラックを共同で商品化していくことで、政府目標である「後続車有人システムの2021年までの商業化」の実現を目指すという。

 

 

刈屋大輔

青山ロジスティクス総合研究所代表