定年を1年後に控えたタイミングで辞表を叩きつけた59歳女性「仕事もない、貯蓄もない」お一人様の老後危機が到来。どうすればいいのでしょうか。ファイナンシャルプランナーの長尾義弘氏が著書『運用はいっさい無し!60歳貯蓄ゼロでも間に合う老後資金のつくり方』(徳間書店)で60歳から老後資金を貯める働き方を解説します。
貯蓄ゼロのお一人様…老後資金を増やす働き方と裏ワザ【FPが解説】 (※写真はイメージです/PIXTA)

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ステップ②一生涯入ってくるお金を増やす

次の手は年金の受給額をとにかく増やすことです。

 

佐藤さんは22歳で就職し、何度か転職を繰り返してきました。そのため、年金保険料を支払っていない時期がぽつぽつとあり、国民年金の加入は通算で37年です。このままでは満額には届きません。

 

そこで、国民年金に任意加入をしました。あわせて国民年金基金にも加入します。

 

60歳からは国民年金の掛金を支払うために支出が増えますが、65歳以降は約11万円の年金、そして80歳以降は約9万円の年金を一生涯受け取ることができます。

 

これは、限度額いっぱいまで使うために、終身年金と15年保証の確定年金を組み合わせて加入したからです。

 

さらに、70歳まで働くのであれば、その間は繰下げ受給をします。

 

■70歳まで繰下げ受給をするプランニン

65歳での年金の受給額 180万円
70歳まで繰下げ受給・70歳からの年金受給額 256万円にアップ
これに国民年金基金の11万円を合わせれば、267万円に

 

女性は平均寿命が長いので、繰下げ受給は得になる可能性が高いと言えます。

 

2022年からは75歳まで繰下げが可能ですが、さすがにそこまで働けるかどうかはわかりませんし、資金が持たないかもしれません。あまりムリをして、身体を壊しても困ります。したがって、70歳が妥当なセンかなと思います。

 

ところで、佐藤さんにはもうひとつやりたいことがあります。それは、「ガイド・ボランティア」です。ガイド・ボランティアについては英語と障害者の講習を受け、両方の資格を持っています。

 

70歳以降は、これを使ったボランティア活動ができればいいなと考えています。ボランティアといっても、ほんの少し奨励金が出ます。ボランティアの先輩によれば、年間で15万円くらいになりそうです。若干でも家計の足しになりますし、生きがいにもつながるはずです。

 

■ボランティア活動をするプランニング

ボランティア活動の収入 年間15万円
年金 267万円
合計で282万円(ただし、80歳以降は国民年金基金が9万円になるので、265万円)
生活費 240万円
生活費を上回り、黒字です。

 

75歳までは毎年旅行をする予定でプランニングをしました。しかし、その後も元気であれば、毎年とはいかなくても、2年に1回の旅行は可能でしょう。もし、75歳から旅行をやめたとしたら、90歳の時点で1100万円くらいは余裕資金を持てる計算です。

 

これで佐藤さんもお金の心配をせずに、安心して老後を過ごせそうです。

 

出典:長尾義弘著『運用はいっさい無し!60歳貯蓄ゼロでも間に合う老後資金のつくり方』(徳間書店)より。
出典:長尾義弘著『運用はいっさい無し!60歳貯蓄ゼロでも間に合う老後資金のつくり方』(徳間書店)より。

 

長尾 義弘(ながお・よしひろ)
ファイナンシャルプランナー、AFP、日本年金学会会員
大学卒業後、出版社に勤務。いくつかの出版社の編集部を経て、1997年に「NEO企画」を設立。出版プロデューサーとして数々のベストセラーを生みだす。著書には『かんたん!書き込み式 保険払いすぎ見直しBOOK』『老後資金は貯めるな!』(河出書房新社)、近著に『運用はいっさい無し!60歳貯蓄ゼロでも間に合う老後資金のつくり方』(徳間書店)などがある。

 

 

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