今年、60歳定年を迎える人は推定150万人ほど。そのなかには同じ大卒でも、まったく違うキャリアを歩んできた人もいるでしょう。そこには大きな「格差」が生じています。みていきましょう。
年金格差880万円…あえて中小企業を選んだ「定年会社員」の大後悔 (※写真はイメージです/PIXTA)

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今年60歳で定年を迎える人たちが新卒だったころ

現在、企業の定年は8割が60歳。ほとんどが再雇用の契約を結ぶなどして65歳まで働ける環境が整えられています。

 

ただ会社人としては、いまのところ60歳がひとつの区切りとなるでしょう。2022年に60歳を迎える人たちが、大学を卒業したのは1985年のこと。年々厳しくなる大学受験をくぐりぬけ、大学に入学。そして意気揚々と社会に出た年の9月に「プラザ合意」が発表されました。

 

G5の大蔵大臣(米国は財務長官)と中央銀行総裁が合意した為替レートの安定化策で、各国の外国為替市場の協調介入によりドル高を是正し、米国の貿易赤字の削減を狙うものでした。それにより当時1ドル=240円だった米ドル/円は、その2年後には1ドル=140円と一気に円高が進むことに。

 

それに対して、日銀は低金利政策などで円高不況を回避。当時1万2,000円だった日経平均は、それから2年後、2万5,000円と、2年で2倍以上に上昇。バブル景気の幕開けとなったのです。

 

また1985年5月には男女雇用機会均等法が成立し、翌年より施行されました。それにより、スチュワーデスが客室乗務員となったり、看護婦が看護師になったりと、職業の呼称も変化しました。ちなみに1997年には、それまで努力義務だった採用や昇進、教育訓練等での差別を禁止規定にするなど、大幅な改正がおこなわれています。

大企業を選んだ人と中小企業を選んだ人の差

今年、定年を迎える人たちが大卒で社会に出たのは、バブル前夜ともいうべき、そんな時代。やはり就職の花形は大企業。当時人気だったのは、金融、商社、電機、自動車、ゼネコン……いまも大企業と聞いてイメージされるところばかりです。

 

中進工業国から世界最大の貿易黒字を生み出す先進工業国へと変貌を遂げていた時代、もちろん大企業への就職が叶わなかったケースもありますが、あえて中小企業を選んだ学生も、この時代にも多かったようです。