今年、60歳定年を迎える人は推定150万人ほど。そのなかには同じ大卒でも、まったく違うキャリアを歩んできた人もいるでしょう。そこには大きな「格差」が生じています。みていきましょう。
年金格差880万円…あえて中小企業を選んだ「定年会社員」の大後悔 (※写真はイメージです/PIXTA)

――幅広い仕事が経験できる

――仕事の流れが見えやすい

――意思決定、昇進スピードが早い

――個人の裁量が大きい

――転勤がない

 

中小企業に就職するメリットは、いつの時代も同じようです。ただデメリットもあり、やはり給与・待遇面では大企業に劣ります。しかし新卒の給与ではそれほど差がない(ように見える)ことから、あえて中小企業を選択する人も多くいます。

 

実際のところはどうなのでしょう。厚生労働省『令和2年賃金構造基本統計調査』によると、大卒男性の平均年収は637万9,000円。会社規模でみていくと、従業員規模1,000人以上企業の大卒男性の平均年収は725万6,000円、一方、従業員規模10〜99人企業の大卒男性の平均年収は514万9,000万円。同じ大卒ですが、年収にして200万円ほどの差が生じています。

 

仮に現在の数値で60歳までの生涯給与を算出すると、大企業と中小企業で同じ大卒でもその差、8,000万円強になります。家1軒分の給与差……新卒時にこの差を理解して、「あえて中小企業」を選んだのであればいいのですが、そうでなければ後悔の元凶となるでしょう。

 

また大企業勤務と中小企業勤務の格差は、現役時代だけでなく定年以降も続きます。65歳から受け取れる年金額は、ずっと大企業に勤めていたとしたら、月額21万2,000円。一方、ずっと中小企業でキャリアをつんできたとしたら月額17万5,000円。その差、月に3.7万円、年間44.4万円。仮に老後が20年続くとしたら、880万円ほどの差となるわけです。

 

*厚生労働省『令和2年賃金構造基本統計調査』の平均給与から算出

 

もちろん、これらは、統計上の数値から算出したもので、実際とは異なることはおおいにありえるでしょう。現役世代は、企業規模で大きな給与差があり、将来の年金にも影響すること、それを見越して資産形成を進める必要がある、ということは心得ていたほうがいいでしょう。