投資には必ずリスクがともないます。それを抑えることが分散投資の目的です。資産の分散であれば、同じ要因に対して値動きが連動するものに偏らないことで、大きな市場の変動で資産を大きく減らすことを避けることができます。独立系FPが著書『ていねい図解!初心者のための投資信託教本』(日本橋出版)で資産分散とポートフォリオをわかりやすく解説をします。
投資初心者も「ポートフォリオ」を考える必要はありますか?【FPが解説】 ※写真はイメージです/PIXTA

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投資信託1本だけ持つのはダメという理由

(4)資産配分とポートフォリオの重要性

 

資産配分と、資産クラス、ポートフォリオの言葉の意味は、なんとなく分かっていただけたでしょうか。資産配分は、どの資産クラス(カテゴリー)に何パーセントずつ資産を分けるか、という配分でした。

 

国内外の株式や債券、短期金融商品など様々な資産に適切に配分することを、資産配分(アセット・アロケーション)と呼びました。その比率を変えることで、全体のリスクとリターンをコントロールすることが可能になります。人間無計画で投資をすることほど、心穏やかでないと思います。漠然と投資をするよりも、明確に分かっていた方がずっと安心です。

 

パターンとしては、色々考えられます。

(1)パターン1

株と債券、日本と国際を組み合わせて、日本株、国際株、日本債券、国際債券という4 つに。

(2)パターン2

更に、国際を先進国と新興国に分けて日本株、先進国株、新興国株、日本債券、先進国債券、新興国債券という6つに。

(3)パターン3

次は、株式や債券とは相関関係の比較的低い、金やREITを入れて日本株、先進国株、新興国株、日本債券、先進国債券、新興国債券、金、REITという8つに。

 

 

これら、4つ、6つ、8つの資産というように配分して、リスクとリターンのバランスを保つことが、将来の資産運用の目標を立てる上で有効です。

 

それぞれのカテゴリーで1 本ないし数本の投資信託を持つのは煩雑で分かりにくいという方は、バランス型ファンドを持つことで、1 本だけにすることも可能です。投資信託の商品名の中に、4資産、6資産、8資産というキーワードが入っていたり、バランス△△とネーミングされたりするものも多いので、一度検索してみるのもいいかもしれません。

 

アセット・アロケーションが決まったら、その資産カテゴリーごとに、どの商品を持つかを決めていきます。具体的に商品を組み合わせた資産全体の構成のことを、ポートフォリオというのです。

 

資産配分を基盤に理論的に投資するのが、「ポートフォリオ理論」であり、資産形成上で、最も重要とされています。

 

まとめ

投資信託を1本持つのはだめですか? という最初の質問には、その方の他資産の持ち方次第ではあるものの、ある一部の商品以外ではおすすめしていません。ある一部の商品というのは、バランス型ファンドで、複数本の金融商品を持っているのと同じ効果が得られる投資信託です。

 

なお、その場合も、その中身をしっかり理解することが必要です。それ以外の商品に関しては、1本だけではなく複数本持つ必要があるというのが、なんとなく分かったでしょうか。

 

福田 由美
独立系FP
財務アドバイザー

 

 

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