厚生労働省はオンライン診療の初診料を2割程度引き上げる方向だとニュースになりました。新型コロナウイルス感染症対応で普及を目指す、オンライン診療とは。みていきましょう。
初診料「2割値上げ」…それでも「オンライン診療」の普及が進まないワケ (※写真はイメージです/PIXTA)

オンライン診療と対面診療…同じ金額にできない事情

また値上げか……と思った人もいるかもしれませんが、これは私たちのメリットにもつながる値上げかもしれません。

 

現在のオンライン診療は、コロナ特例を設けたもので、当初は対応医療機関も増えていましたが、その後の伸びは鈍化。昨年6月時点で、全医療機関の15%程度に留まり、さらに初診から対応するところは6%。ほぼ利用できないに等しいほどの普及率なのです。

 

その理由のひとつが「報酬水準の低さ」。対面診療のほうが「儲かる」のであれば、医療機関としてはオンライン診療に舵をきるのをためらうのは当然のことです。

 

今回の改定で対面診療との差が縮まれば、普及にも弾みがつくという目論みなのです。現状、ほとんど利用できない状況であれば意味はなく、多少の負担増でもメリットは大きいというわけです。

 

――いっそのこと、同じ金額にしたほうが普及スピードもあがるのに

 

そう考える人も多いでしょうが、それはなかなか難しいことのよう。対面診療にしかできない診療行為があり、あくまでもオンライン診療は対面診療を補完するもの、というのが有識者の見解。オンライン診療を対面診療と同等と評価できない、というのが実態なのです。

 

診療費の差が縮まるとはいえ、対面診療のほうが報酬水準は高いので、普及を後押しする事にはならないだろうという声も。総務省『家計調査家計収支編』によると、月の医療費(保険医療費)は平均7,408円(二人以上世帯)。「家計は火の車」という人も多いなか、あまりの負担増となっては、対応医療機関は増えても、利用者は増えない、という結果になるでしょう。ちょうどいい塩梅で解決することを願います。